バスソルトに使われる「塩」にはいくつか種類があるのですが、その中でもヒマラヤ岩塩は流通量も多くバスソルトのパッケージなどでよく見かけます。
この記事ではヒマラヤ岩塩の特徴と効果を解説しつつ、その他の塩との違いを紹介していきます。
ヒマラヤ岩塩とは?
ヒマラヤ岩塩とは、世界一標高の高い山脈として知られるヒマラヤ山脈で採れる岩塩のことです。
岩塩とは、海底が地殻変動により隆起し、海水が陸上に閉じ込められ、水分が蒸発して塩分が凝縮し、結晶化することによって出来る塩を指します。そこから、「海の化石」とも呼ばれています。
島国である日本で馴染み深いのは海塩ですが、実は世界で多く使われているのは岩塩です。
ヒマラヤ岩塩には、鉄分、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、豊富なミネラルが含まれています。
また、ヒマラヤ岩塩には、他にも嬉しい効果がたくさんあります。
今回は主なものを五つ紹介します。
デトックス効果
まず一つ目は「デトックス効果」です。
ヒマラヤ岩塩には代謝を促進し、老廃物を体内から排泄する効果があります。また、発汗作用もあるため、デトックス効果も期待できます。普段運動などをしない方におすすめです!
高血圧の緩和
二つ目は「高血圧の緩和」です。血液の循環を促進することで、血圧を下げてくれます。そのため、高血圧の緩和や血液の疾患に効果があるとされています。効果があります。
ストレス解消・快眠
三つ目は「ストレス解消や快眠」です。塩分が血液に溶け込むことでリラックス効果が生まれ、結果的にそれがストレス解消や快眠につながります。さらに、体が温まるので副交感神経が活発になり、体をリラックス状態にすることができます。
鼻炎の解消
四つ目は「鼻炎の解消」です。
あまりイメージが湧かない効果かもしれませんが、ヒマラヤ岩塩は呼吸器系の疾患の改善効果も期待できます。そのため、鼻炎や喘息が改善する可能性があると言われています。
体内phバランスの調整
最後に五つ目は「体内のphバランスの調整」です。
phバランスが整うことで美容と健康に働きかけることができます。ヨーロッパにはこの効能を生かしたセラピー施設もあるほどです。
ヒマラヤ岩塩のバスソルトを使用して入浴する際にはいくつか気をつけるべきポイントがあります。それはお湯の温度です。温度が高すぎると成分の効果が得にくいため、40~41度のぬるめのお湯を使用すると良いでしょう。
そしてお風呂から出た後はしっかり水分補給をしましょう。
また、塩分の入ったお湯は追い焚きを避けた方が望ましいので、その点は十分に注意して使用してください。
成分配合のバスソルトとの違いは?
一言でバスソルトとはいっても種類があり、「クナイプ」や「アーユルタイム」などから発売されているアロマ配合のバスソルトと、岩塩のみのバスソルトに分けられます。
アロマ配合のバスソルトの大きな特徴は、自分の好きな香りの中で入浴ができることです。これは、香りづけせずに使用する岩塩のみ配合のバスソルトとの大きな違いでしょう。
アロマのバスソルトの中で特に有名なのが「クナイプ」と「アーユルタイム」です。
これらの商品に代表されるような、アロマ配合のバスソルトの魅力は、「香り」と「美肌・健康効果」です。
アロマの成分にはリラックス効果やストレスの軽減、ホルモンバランスの調整など、多くの効能があります。
これらの効果のおかげで、入浴時間をさらに充実したものにすることができます。
さらに、柑橘系の香りやハーブ系の香りなど、様々な種類のアロマ配合のバスソルトが販売されています。何種類か試してみて、好みの香りを見つけるのも楽しみの一つですね。
ヒマラヤ岩塩の種類と効果
ヒマラヤ岩塩は、その見た目の美しさも魅力です。岩塩の採掘国では、岩塩を利用したランプなどのインテリアも生産されているほどです。
そしてヒマラヤ岩塩は、ピンク、黒、白、黄など、様々な色のものがあります。複数の色になる理由は、岩塩が地中で結晶化する中で不純物が混ざり、色が変化するからといわれています。今回は代表的なものを3種類ご紹介します。
ピンク岩塩
ピンクの岩塩は、採掘量が他の岩塩と比べると多く、様々な商品が販売されています。
成分に硫黄が含まれていないのが特徴で、他の岩塩と比べて香りが控えめです。
そのため、一番スタンダードなバスソルトといえます。
ブラック岩塩
ブラック岩塩には、ピンクの岩塩には含まれていない硫黄が含まれています。硫黄が配合されたバスソルトにはリラックス効果があります。
この温泉のような硫黄の香りが好みの方にはおすすめですが、好き嫌いが分かれるため、まずは小さいサイズのものから始めるのがおすすめです!
ホワイト岩塩
ホワイト岩塩は、別名で「クリスタルソルト」とも呼ばれていて、宝石のような美しさです。その名の通り、他の岩塩に比べると採れる量が少なく、希少価値の高い岩塩です。
自然の力で長い時間をかけてゆっくりと水分が蒸発することで結晶化するので、他の岩塩より溶けやすいのが特徴です。
半透明で、成分中のカリウムが少なく、他の岩塩よりまろやか。
この特徴から料理用として用いられる機会が多いです。
ヒマラヤ岩塩以外の岩塩はあるの?
世界で最もよく知られている岩塩はヒマラヤ岩塩と言えますが、その他にも特徴的な岩塩が世界中で採掘されています。今回はヒマラヤ岩塩以外の海外産岩塩をご紹介します。
ドイツ・オーストリア産の岩塩
オーストリアのハルシュタットは、「塩の場所」と訳されるほど塩業が盛んな街です。小さな街ではありますが、古くから岩塩を採掘する街として歴史的にとても重要な役割を果たしてきました。
ハルシュタットの岩塩は、アルプス造山運動により、古地中海の一部が隆起し、海が干上がり塩が沈澱、地層中で固まることでできました。
現地には「ハルシュタット岩塩坑」があり、岩塩が長年採掘されてきた歴史を感じることができます。
ハルシュタットの塩は水上交通を使って各地に運搬されました。その要衝となったのがザルツブルグです。「塩の砦」と訳されます。
ザルツブルグは塩が貴重だった中世ヨーロッパの時代に塩の流通の中心地として栄えました。現在、ザルツブルグの市街は世界遺産に登録されるほど長い歴史と高い価値を誇っています。
オーストラリア産の岩塩
岩塩の生産はオーストラリアでも盛んです。
世界の塩生産量ランキングでも上位にランクインしています。そんなオーストラリアで生産されている岩塩で有名なものが「オーストラリア リバーソルト」です。こちらは主に食用として使用されています。
リバーソルトはオーストラリアの首都であるメルボルンから少し離れた、内陸の街メルドゥラで採取される地下塩水から生産される天然の塩です。
この地下塩水の源はオーストラリアの山々の雪解けを源流とするマレー川。長い年月をかけて川の水が蒸発し、そして凝縮した地下の塩分が結晶化されてリバーソルトに生まれ変わるのです。
このリバーソルトを買うことで、塩害に悩まされる地元の環境を改善することにもつながります。
アメリカ産の岩塩
岩塩の生産地トップのアメリカの岩塩にも注目です。今回紹介するのは岩塩の有名な生産地である、ソルトレークシティで採れる岩塩です。ソルトレークシティとは、その名の通り元々は大きな湖だった街です。この街には紀元前ジュラ紀の改訂が隆起したことにより形成された岩塩層や、塩湖であるグレートレイクがあり、塩の街として知られています。
この岩塩層を利用して生産されているのが「ジュラシックソルト」です。
恐竜が生息していたジュラ紀の地層から採れることからこの名がつきました。食用として世界中で高い評価を受けている岩塩です。
海塩、エプソムソルトとヒマラヤ岩塩の違いは?
ここまで岩塩に焦点を当て説明してきましたが、塩には岩塩以外にも様々な種類があります。ここでは岩塩以外の塩に注目し、説明します。
死海の塩の特徴
死海とは、イスラエルとヨルダンの境にある、海抜マイナス400メートルの湖です。死海は世界で最も有名な塩湖の一つとして知られていて、観光地としても人気があります。死海に入って軽々と浮かびながら読書をしたりしている観光客の写真を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
死海は体が簡単に浮くほど塩分濃度が高く、海水の10倍もあります。塩分濃度の関係から生物の生息はほとんどできませんが、実はバスソルトやスキンケアグッズに有効な成分が多く含まれています。
死海にはマグネシウムやナトリウム、そしてカルシウムといった天然のミネラルが一般的な海水と比較しておよそ30倍もあるのです。
一般的な食用の塩の成分は、ほとんどが塩化ナトリウムで、残りがミネラルです。それに対し、死海の塩は塩化ナトリウムが8%、塩化カリウムが20%、そして塩化マグネシウムが40%と、一般的な塩とは成分がかなり異なります。食用にするととても苦いため、主に美容製品に使用されています。
死海の塩でできたバスソルトには大きく4つの効果があるといわれています。
一つ目は「ダイエット効果」です。塩の成分が汗腺に入ることで体の老廃物を排泄する効果があります。
二つ目は「肌の保湿」です。死海の塩には肌の保湿を助けるマグネシウムが含まれています。これが肌に浸透すると肌表面が水分で満たされ、保湿されます。
三つ目は「血液循環の促進」です。塩に含まれる多くのミネラルが血行を促進してくれます。さらに、末梢神経にも効果があります。そのため、冷え性の改善にもつながります。
最後に四つ目は「リラックス効果」です。筋肉や関節の凝りがほぐされ、疲労回復やリラックス効果があります。
次はバスソルトとしての使い方です。
一回につき大さじ3~5杯ほど、ぬるめのお湯に入れます。
ここで大切なのが長めの時間入浴することです。ぬるめのお湯に長い間浸かることで、体の芯が温まり、湯冷めするのを防止することができます。
用途はバスソルトだけにとどまりません。スクラブソルトとしての使用もできます。死海の塩から作られた製品を買うのも良いですし、死海の塩とはちみつ、そして好きな香りのアロマオイルが家にあれば簡単に自作できます。
海塩の特徴
海塩は海水から抽出した塩のことで、日本では一般的に使われています。
国産では、沖縄産や伊豆産のものが特に高品質として知られています。海塩とはいっても、海だけでなく湖から抽出された塩も海塩と呼ぶようです。
海塩から作られたバスソルトも多くの種類が販売されています。
海外産の塩はもちろん、日本の塩から作られたバスソルトもあります。高い塩の品質で知られる伊豆の海塩を使って作られた「伊豆海塩バスソルト」がその一例です。
伊豆大島の土壌は溶岩と火山灰が積み重なった特徴的な土壌です。そのため、海底近くの井戸の塩水には天然ミネラルが多く含まれています。伊豆海塩バスソルトはこの塩水から、なんと手作業で生産されているバスソルトです。
この海塩バスソルトは、ヒノキやバラなど、様々な香りと合わせたものも販売されています。気になった方はチェックしてみてください。
エプソムソルトの特徴
入浴剤として、バスソルトとよく一緒に頻繁に登場するのがエプソムソルトです。エプソムソルトとは、マグネシウムの一種で、厳密には塩ではありません。正確には硫酸マグネシウムといって、硫酸とマグネシウムの無機化合物からできています。
エプソムソルトの効果は、脂肪燃焼を促進するダイエット効果、発汗を促すデトックス効果、皮膚表面をバリアしてくれる美肌効果、自律神経を整え安眠を促す効果など様々です。
エプソムソルトを使用するときは、分量やお湯の温度などに注意する必要があります。
まず分量についてです。適切な量は、150リットルのお湯に対し150グラムから300グラムが適当です。一般的な家庭の浴槽の容量は200 リットルほどであるため、一回の入浴につき200グラムほど使用するのが良いでしょう。
そしてお湯の温度は、ぬるめのお湯を使用しましょう。具体的には38~40度ほどがおすすめです。この温度が熱すぎたり冷たすぎたりすると、エプソムソルトの効果が出にくくなってしまうため、注意が必要です。
塩分が含まれていないため、浴槽や排水管へのダメージを抑えられたり、追い焚きができたりするなど、簡単に使用できるため、初心者にはおすすめのバスソルトです。
まとめ
ここまで、ヒマラヤ岩塩のバスソルトや、岩塩と他の塩との違いを説明しました。ヒマラヤ岩塩は他のバスソルトと比べて、高いコストパフォーマンスで多くの美容・健康効果を得ることができます。現在はネットでも店頭でも様々な種類のバスソルトが販売されているので、気になった方はぜひ購入してみてください!