皆さんは「バイオエタノール暖炉」をご存知ですか。バイオエタノール暖炉は、燃料を燃やしても煙を出さないため、環境面でも健康面でも良いとして現在注目され始めている暖炉です。
燃焼しているはずなのに煙が出ないのは不思議ですよね。
この記事では、なぜ煙が出ないのかを知りたい方に向けて、バイオエタノール暖炉の仕組みや着火・消火のやり方を解説します。
バイオエタノール暖炉はなぜ煙が出ない?
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なぜバイオエタノール暖炉は煙が発生しないか、その理由は他の暖炉との構造の違いに注目すると分かります。
薪の暖炉を使っていると、必ず煙が発生します。その原因は、薪に含まれた炭素にあります。薪を燃焼させることで炭素が燃え、可燃ガスとなって気化します。そのガスが冷えると固体の微小な粒になり、それが視認されるのが煙です。
よって、バイオエタノール暖炉で煙が発生しない理由は、バイオエタノールを燃やしてもこの可燃ガスが出ないからなのです。
バイオエタノールとは
バイオエタノールの原料は、トウモロコシや麦、さつまいもなどのでんぷん質原料と、テンサイやサトウキビなどの糖質原料です。これらの植物が保有する糖分を発酵させ、その後蒸留することでアルコールを発生させます。
日本では、北海道や沖縄県などで様々な原料を用いてバイオエタノールを生成する実験が進められています。
この実験などにより、バイオエタノールはトウモロコシなどの食料からだけではなく、建築の際に廃棄される木材やワラなどからも生成できることがわかっています。つまり、今後仮に食糧不足に陥っても、食料でないものから燃料が生成できることからも、次世代燃料として注目されています。
世界でバイオエタノールを多く生産しているのは特にアメリカとブラジルです。アメリカは主にトウモロコシから、ブラジルは主にサトウキビから、バイオエタノールを生成しています。その国の特産品を生かして生産が行われていることがわかりますね。
バイオエタノールの使い道
バイオエタノールの使い道は、バイオエタノール暖炉だけではありません。自動車メーカーは、フレックス燃料車というガソリンとバイオエタノールを併用できる自動車の開発を進めています。海外に目を向けてみると、ブラジルやアメリカ、オーストラリアで販売されている自動車は、ガソリンの中にバイオエタノールを10%配合した「E10」対応の自動車となっており、バイオエタノールの普及が世界的に進んでいます。
このように普及が進んでいる背景には、地球温暖化に対する危機感が世界的に高まっていることが挙げられます。
日本でも、2009年に「バイオマス活用推進基本法」が制定されました。これにより、バイオマス、つまり再生できる生物由来の有機物資源を積極的に活用していくことが定められました。さらに同年には「エネルギー供給構造高度化法」が制定され、バイオエタノールの利用に関する目標量が制定されました。これにより、2016年時点、およそ3240のガソリンスタンドでバイオエタノールを含んだガソリンが販売されるようになりました。
このように、地球温暖化抑制のため、化石燃料から植物由来の燃料への置き換えが着々と進んでいるのです。その流れの中で最も注目されているものの一つがバイオエタノールです。
発生するのは「二酸化炭素」だけ
バイオエタノール暖炉の最大の特徴は、煙や煤を排出しないため、一酸化炭素などの有害物質も発生しないということです。
ただ、バイオエタノール暖炉は物質を燃焼させているため、どうしても二酸化炭素は発生します。とはいえこの二酸化炭素排出量も、バイオエタノールを使用していることで環境への影響は最小限に抑えられるのです。
その理由は、「カーボンニュートラル」にあります。
カーボンニュートラルとは、一言でいうと物質を燃焼させることで発生する二酸化炭素と、原料が吸収する二酸化炭素の量が同等であることです。
バイオエタノールの原料は上記したようにサトウキビなどの植物です。植物は生きている間、光合成をします。この光合成により、大気中の二酸化炭素は吸収されます。
よって、これらの植物由来のバイオエタノールを燃焼させて発生する二酸化炭素は、吸収された二酸化炭素量と同量であるため、環境汚染を引き起こさないのです。
煙が出ないから煙突も不要!
煙が出ないことにより、バイオエタノール暖炉には様々な利点があります。
ここでは、煙突工事が必要ないことにより考えられる利点を紹介します。
設置可能範囲が広い
バイオエタノール暖炉は薪ストーブなどと違い、煙突工事や配管工事が不要です。そのため、マンションやアパートにお住まいの方でも簡単に設置できます。一軒家の方でも、手軽にお部屋の雰囲気をガラリと一新することが可能です。
雑多な工事が要らないことから、後付けができる点が最大の魅力の一つといえます。マイホームを購入して余裕が出てきたら購入したり、老後の楽しみのために購入したりということが自由にできるのです。
様々な種類が販売中
バイオエタノール暖炉は、煙突が不要なことから、様々な場所に置くことができます。部屋の真ん中に置いてインテリアの中心とするだけではなく、テーブルやシェルフの上に置いてインテリアのアクセントの一つにしたり、庭において手軽にキャンプ気分を味わったりもできます。
大型タイプから手のひらサイズまで販売されているので、小さめの部屋の方でも購入できるのです。
また、薪ストーブと比較すると、炎が偽物みたいで迫力に欠けるのではないかと懸念する方もいらっしゃるかもしれませんが、心配は要りません。小さいサイズの商品でも、かなり大迫力の炎が楽しめますし、タイプによっては炎の色を変えることができるものもあるので、より本格的に炎の揺らぎを堪能することが可能です。
メンテナンスが簡単に完了
煙や煤が発生しないため、専門の業者に定期的に掃除してもらう必要がある薪の暖炉とは違い、時々簡単に拭いたり埃を払ったりするだけで利用が継続できます。
煙突掃除の業者を呼ぶとなると、一回につき5万円近くかかってしまう場合もあるので、このような余計な出費をすることなく、使うことができるのもバイオエタノール暖炉の魅力です。
安全性が高い
先ほども解説しましたが、バイオエタノール暖炉は煙を出さないため一酸化炭素中毒の心配なく使用できます。
一酸化炭素は、気づかないまま発生し、事故につながってしまう危険な物質であるため、このような事故の心配なく使えるのはとても良いですよね。
さらに、直火が燃えていて火事の危険性は無いのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その心配も不要です。
なぜなら、販売されているバイオエタノール暖炉の多くが、ヨーロッパなどの厳しい安全基準を満たし認証を受けているからです。
例えば、日本のメーカーではEcoSmart Fire社の販売しているバイオエタノール暖炉は、日本で唯一JBFA(一般社団法人日本バイオエタノール暖炉協会)の検査基準をクリアした製品を販売しています。
海外のメーカーでは、ポーランドの暖炉メーカーKratkiの製品は、ドイツの安全・品質基準であるTUV認証を受けています。
他にもUL認証やSITAC認証など、様々な種類の規格があり、どの製品もこれらの厳しい基準を満たし、安全性が確かめられた上で販売されているのです。
ただし、安全に使用を続ける上で一つ注意が必要なのが換気です。
バイオエタノール暖炉を使っていると二酸化炭素が発生するため、使用中はこまめに換気をすることが肝要です。
バイオエタノール暖炉の着火・消火のやり方は?
バイオエタノール暖炉を安全に使用するためには、その仕組みや着火・消火の方法を知っておく必要があります。
製品によって仕様は異なってきますが、今回は一般的なバイオエタノール暖炉の仕組み、着火・消化のやり方を紹介します。
着火のやり方
着火のやり方をステップごとに紹介します。
1. 燃料の注入
燃料缶のノズルを外し、バーナーに注ぎ入れます。こぼれないようにゆっくり注入してください。
燃料を補充する際の注意点について説明します。
1つ目は、換気がよく、火気から離れた場所で行うことです。怠ると火事の原因になるので注意が必要です。
2つ目は、注入前に暖炉を使用していた場合、1時間冷却することです。これも怠ると火災の原因になります。
3つ目は、燃料を入れすぎないことです。残量を示す印があるので、そこを超えないように注ぎましょう。
4つ目は、周囲1.5メートル以内に可燃物を置かないことです。本やぬいぐるみだけでなく、カーテンなどにも注意が必要です。
最後に、注いだらしっかりとふたを閉め、倒れても漏れないようにしてください。
2. バーナー周囲の確認
バーナー周囲に可燃物がないか確認します。
さらに、手や顔がバーナー近くに来ないようにしましょう。
点火前に、燃焼ガスの残りがなくなるまで1分間待ってください。
3. バーナーの蓋を外す
暖炉を購入する際に付いてくるライティングロッドを使用し、蓋を外します。
4. ライターで着火する
ライティングロットの先の部分にバイオエタノールをたっぷり浸します。
そこにライターの火を近づけ着火させます。
5. 火種をバーナーに付け着火
先程の工程で着火したライティングロッドをバーナーに近づけ着火させます。
6. 蓋を閉める
ライティングロッドを使って蓋を閉めたら着火完了です。
7. 炎の調節
火が安定するまで少し時間がかかるため、10分程度待ってから炎の量を調節します。
以上で着火が完了です。最初は少し手間取ることもあるかもしれませんが、慣れてしまえばとても簡単に着火ができるようになります。
着火の際の注意点
着火のときは、火を使うため、間違えると事故の原因になります。そのため、いくつか守らなければならない注意点があります。
1つ目は、喫煙をしないことです。着火の際はタバコを吸わないようにしましょう。
2つ目は、着火作業前に点検をすることです。バーナー周りに埃などが付いていると、火事の原因になるため、必ずチェックしてから着火してください。
バーナーの手入れ方法は、長期間使用すると出てくる黒ずみを雑巾などでこすって落とし、掃除機でバーナーの内部や燃焼部分の上部に付着するごみを吸い取ってから最後に濡れ雑巾で全体的に拭きあげて完成です。
バーナーの匂いが気になるという方は、燃料を空にして冷却し終わったバーナーを外し、洗剤を入れたお湯で洗い流すと匂いを取る事ができます。
手入れを怠ると、異臭や燃焼不全の原因になってくるので、定期的にメンテナンスをすると良いでしょう。
消火のやり方
バイオエタノール暖炉は、補充した燃料が無くなった時点で自動的に消えます。
消火の手順は商品により異なりますが、上下式のふたで消火する仕組みになっている暖炉が多いです。火を消したいときは、上下のふたを閉めることで火を消すことができます。
他にも、ふたをスライドさせて開閉するタイプのバーナーや、上下にふたがついているのではなく、ふたが一つで手前から閉じたり開けたりするタイプのバーナーがあります。
説明書をよく読んで、自分のバーナーに合わせた方法で消火してください。
ここまで着火や消火の仕方について紹介しました。火を扱う商品であるため、細かい点については購入後、使用する前に付属の説明書を熟読してから使用するようにしてください。
着火方法は商品によって異なるため、購入する前に自分が使いやすいかチェックするのもおすすめです。
この記事では、バイオエタノールがどのような物質であるのか、バイオエタノール暖炉がなぜ煙が出ないのか、そしてバイオエタノール暖炉の着火・消火のやり方について紹介しました。
バイオエタノールは、暖炉の燃料だけでなく、これから将来的には自動車の燃料としても活発に使われるようになる可能性がある物質です。
また、暖房器具にバイオエタノール暖炉を使うことで地球の環境保全にも貢献することができます。
興味を持った方は、ぜひバイオエタノール暖炉を使ってみてください。
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