座禅というと、「お寺でお坊さんがするもの」「板で肩を叩かれる」というイメージを持つ方は多いでしょう。
座禅は、座禅をする宗派の総称「禅宗」の修行の基本ですが、近年「座禅体験」など、本来の修行とは関係のないところで座禅が広まっています。
座禅には心のバランスを保つ効果やリラックス効果があることから、悟りをひらくことを目指さない一般の人でも座禅の恩恵があるとして広まっています。
また、座禅は瞑想のひとつとされることがありますが、禅宗の生き方・考え方・捉え方に触れられるという点で他の瞑想とは大きく異なります。
この禅宗の考え方は、実は私たち日本人の身近にみられます。
出会いを大切にするという意味の「一期一会」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは禅宗の教えを短い言葉で説いた「禅語」のひとつです。
僧侶が法話をしてくれることで、禅宗の考え方に触れられる座禅体験もあります。
800年以上日本に根付く考え方を改めて体感でき、座禅の魅力を十分感じることができるでしょう。
座禅のはじまり
仏教の開祖であるお釈迦さまが悟りをひらいた方法です。
お釈迦さまは、老・病・死などの苦しみから逃れるためあらゆる苦行を行いました。
しかし、心と体は弱るばかりで、苦しみから逃れることはできませんでした。
そこで、菩提樹のもとで座禅を組み自分自身と向き合い続けると、苦しみの根源を見つけました。
それは「苦しみは自分自身がもつ”欲”から生まれる」ということです。
お釈迦さまは、欲を捨て、苦しみから逃げるのではなく捉え方をコントロールすること、すなわち”悟り”をひらいたのです。
お釈迦さまの弟子で禅宗の開祖である達磨大師は、お釈迦さまが悟りをひらいた座禅を、禅宗の基本の教えとして広めました。
こうして座禅は禅宗とともに鎌倉時代に日本に伝わりました。
こんな人には座禅がおすすめ
- 人に対してイライラすることが多い
- 気持ちの起伏が大きい
- シャキっとした姿勢を保ちたい
ひとつでもあてはまる人には、座禅をおすすめします。
座禅をすると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌量が増えることがわかっています。
セロトニンが安定的に分泌されると
- 自律神経のバランスを整える
- うつ病の予防
- 睡眠の質の向上
- 重力に負けない姿勢を保つ
などの効果が感じられます。
その他にも座禅には、集中力の向上・心の落ち着き・ストレスの低減にも効果があるといわれています。
ただし、座禅はこれらの効果を得るためのものではなく、修行として行う座禅の結果として効果がついてくるものです。
修行のひとつである断食の目的がダイエットではなく、修行の結果体が減少するのと同じです。
座禅の実践方法
座禅の効果と魅力を十分に感じるためには、お寺での体験をおすすめします。
しかし、なかなか時間が取れない方にもぜひ実践していただきたいので、ここでは自宅での座禅の実践方法をご紹介します。
座禅中は姿勢・呼吸を調えることで、心を調えます。
これを「調身・調息・調心」といい、どれが欠けても座禅は成り立ちません。
環境
- 静かな場所を選びます
- アクセサリーや時計などの装飾は外します
体勢
- 厚みのあるクッションをおしりの下に敷きます
- あぐらのかたちに座り、右足を左ももの上に乗せます
- 背筋を伸ばし、あごを引きます
- 身体を前後左右に揺らし、身体の中心をみつけたら徐々に止めていきます
- 法界定印(右手のひらに左手を重ね親指同士をつける)を結んだ手を足の付け根におきます
- 1.5m先の床を見るように視線を落とします
方法
- 丹田というおへその少し下の部分に力が入るように、腹式呼吸をします
- 長くゆっくり、静かな呼吸に調えます
- 心の中で、吐く息の数を数えます
- 10まで数えたら、1からまた数えます
座禅の時間は、線香が1本燃え尽きるまでの30~40分程度が基本です。
はじめから自宅で長時間の座禅は難しいでしょうし、姿勢も座禅の大切な要素です。
初心者でも座禅の体験ができるお寺が全国各地にあるので、時間を作って基本を学ぶことをおすすめします。
座禅が体験できるお寺はこちら
禅宗の教えに興味があるなら禅語を知ろう
「座禅は気になるけど体験にいくのはハードルが高いな…」という方は、禅宗の教え、禅語を知るだけでも心が軽くなったり、新しい考え方を持てるかもしれません。
私たち現代人に、気づきを与えてくれる禅語を5つ紹介します。
日出乾坤輝 (ひいでてけんこんかがやく)
人は無知であるため心の太陽に気が付かず闇に沈んでしまう。心の太陽を信じればいつか朝は来る。
慕古(もこ)
全ての人が、この地球に共存していることを忘れてはいけない。
松樹千年翠 (しょうじゅせんねんのみどり)
移り行くものの美しさにばかり目を奪われ、変わらないものの大切さを見失ってはいけない。
諸行無常(しょぎょうむじょう)
当たり前のことなんてない、すべてのものは移り行く。執着せず、感謝しよう。
一期一会(いちごいちえ)
何度同じことをしても、今は一度限りと思いをこめて、全力で取り組もう。
心に響く禅語はありますか?
禅宗の生き方・考え方・捉え方に興味がある方は、僧侶が法話をしてくれる座禅体験をおすすめします。
全国で座禅を体験できるお寺はこちら