5000年以上前から行われていたとされる瞑想は、時代を超え、場所を変え、多様化してきました。
そのため「瞑想は○○である」とひとことで言い表すことができないほど幅広く、様々な目的や方法で行われてきました。
悟りをひらくための修行も、近年注目されているストレス低減の手段も瞑想。
動きながら行うヨガも、姿勢を変えずに行う座禅も瞑想なんです。
目的や方法は違っても、多くの瞑想に共通する効果として、
- ストレスの低減
- 睡眠の質の向上
- 不安の緩和
などがあげられます。
これらの効果は、研究から裏付けがされています。
例えば、瞑想をすることでストレスホルモンが減少すること・副交感神経が優位に働くようになること・不安や恐怖を司る脳の部分が小さくなること。
また、集中力が上がり、生産性が向上するという実験結果も出ています。
しかし、研究で効果が示されるずっと前から、瞑想は「心の成長」「心の平安」に繋がるとされ、形は変えながらも受け継がれてきました。
先人たちは心や身体で変化を感じてきたのでしょう。
世界には500を超える瞑想があるといわれていますが、今回は特に有名なこちらの4つの瞑想についてご紹介します。
- マインドフルネス瞑想
- ヴィパッサナー瞑想
- マントラ瞑想
- 座禅
自分に合っていて、続けられそうな瞑想はどれかぜひ一度試してみてください。
今おこっていることに意識をむける「マインドフルネス瞑想」
マインドフルネス瞑想とは、今おこっていることに意識を向ける「マインドフルネス」という状態をつくる方法のひとつです。
宗教の色がなく、現代人が抱える問題解決に繋がるといわれて、広く受け入れられています。
Google社が社員研修に取り入れたことで話題になったのも、このマインドフルネス瞑想です。
マインドフルネス瞑想の効果
マインドフルネス瞑想の効果で、特に注目したいのがこちらです。
- ストレスの低減
- うつ病の予防
どちらも心理療法のひとつとして確立し、世界各国で用いられています。
マインドフルネス瞑想の実践方法
マインドフルネス瞑想の基本、「呼吸瞑想」の実践方法をご紹介します。
- 椅子や床に座ります。
- 背筋を伸ばし、余計な力を抜きましょう。
- 自分の呼吸に意識を向けながら、ゆっくり呼吸を繰り返します。
- 身体に空気が入っていく感覚、胸が膨らむ感覚、鼻から空気が出ていく感覚など、呼吸に意識を向け続けます。
- 途中、頭に様々な考えが浮かんできます。
- そんなときは「今、○○のことを考えたな」と受け入れたうえで、呼吸に意識を戻します。
- この繰り返しです。
心身の状態をありのままに観察する「ヴィパッサナー瞑想」
お釈迦様を起源とし、2500年以上の歴史を持つヴィパッサナー瞑想。
人間を苦しめる怒り・欲・不安などの苦悩は自分の心が作り出していると気付き、捉え方をコントロールできるようになることで、心の平安を保つ、いわゆる悟りをひらくことを目指す瞑想です。
じっくりと観察し、感じたことを言葉にすることがヴィパッサナー瞑想のポイントです。
ヴィパッサナー瞑想の効果
ヴィパッサナー瞑想の効果で、特に注目したいのがこちらです。
- 慢性痛の改善
- 睡眠の質の向上
観察することで、痛みの捉え方が変わり、実際に痛みが軽減したという実験結果があります。
ヴィパッサナー瞑想の実践方法
初心者が実践しやすい「歩く瞑想」の実践方法をご紹介します。
- 体の感覚に意識を向けながらできるだけゆっくり歩きます。
- 今行っていること・感じたことを言葉にします。
- 「右足を上げます」「右のももに力が入っています」など。
- 感じたことをただ言葉にすることを、休みなく繰り返します。
ヴィパッサナー瞑想は欲を追い求めないことも、目的のひとつです。
歩く瞑想は動きを伴いますが、座って行う場合は姿勢を変えたくなっても変えずに行いましょう。
マントラを唱えながら行う「マントラ瞑想」
マントラとは呪文のようなもので、マントラを唱えながら瞑想をすることで、瞑想効果を高めるマントラ瞑想。
マントラには意味があり、唱えるマントラによって、得られる効果に違いがあるといわれています。
短くて試しやすいマントラを3つ紹介します。
- 「オーム」 過去・現在・未来を意味し、最も崇高といわれるマントラ
- 「ソー・ハム」 宇宙とのつながり意味するマントラ
- 「オム・シャンティ」 平和や穏やかさを意味するマントラ
自分がいいなと思ったマントラを選んでみましょう。
マントラ瞑想の効果
マントラ瞑想の効果で、特に注目したいのがこちらです。
- ストレスの低減
- 血圧が下がる
マントラで使われているサンスクリット語の理解度によっても、効果に差があることがわかっています。
マントラ瞑想の実践方法
ヨガでも使われることがある「オーム」を唱えるマントラ瞑想の実践方法をご紹介します。
- 椅子や床に安定して座ります。
- 途中で体勢は変えません。
- 目を閉じて深呼吸をしてリラックスします。
- 呼吸に合わせて心の中で「オーム」と繰り返し唱えます。声に出してもOKです。
- 「オー」「ウー」「ムー」とそれぞれの言葉を丁寧に唱えましょう。
- 他のことを考えてしまったら、マントラに意識を戻して唱えます。
- マントラ瞑想を終える時は、ゆっくり目を開けて周りを見回します。
散乱した心を鎮める「座禅」
座禅は、お釈迦様から始まる禅宗の修行です。
ヴィパッサナー瞑想と同じく、お釈迦様から始まり、苦悩の捉え方のコントロールを目指します。
意識をどこにも向けずに「ただ座り続ける」という点など、ヴィパッサナー瞑想とは違うかたちで受け継がれてきました。
座禅の効果
座禅の効果で、特に注目したいのがこちらです。
- 精神の安定
- 良い姿勢を保てるようになる
座禅はこれらの効果を得るためのものではなく、修行の結果としてついてくるものです。
座禅の実践方法
自宅での座禅の実践方法をご紹介します。
- 厚みのあるクッションをおしりの下に敷きます
- あぐらのかたちに座り、右足を左ももの上に乗せます
- 背筋を伸ばし、あごを引きます
- 身体を前後左右に揺らし、身体の中心をみつけたら徐々に止めていきます
- 法界定印(右手のひらに左手を重ね親指同士をつける)を結んだ手を足の付け根におきます
- 1.5m先の床を見るように視線を落とします
- 丹田というおへその少し下の部分に力が入るように、腹式呼吸をします。
- 長くゆっくり、静かな呼吸に調えます。
- 心の中で、吐く息の数を数えます。
- 10まで数えたら、1からまた数えます。
座禅の時間は、線香が1本燃え尽きるまでの30~40分程度が基本です。
しかし、はじめから自宅で長時間の座禅は難しいでしょう。
また、姿勢も座禅の大切な要素です。
初心者でも座禅の体験ができるお寺が全国各地にあるので、まずは基本を学ぶことをおすすめします。
座禅が体験できるお寺はこちら
こんな人には瞑想がおすすめ
夜眠れない人にはヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナー瞑想を行うと、リラックス時にでるアルファ波よりもゆっくりとした脳波が出ます。
方法は、寝る前に呼吸を観察するだけです。
息を吸って吐く、このときの身体の動きを感じて繰り返し言葉にしていきます。
初心者が1日に何時間もヴィパッサナー瞑想をすると、感覚が研ぎ澄まされすぎて寝付けなくなってしまうことがあります。
少ない時間から始めて、少しずつ慣れていきましょう。
集中力を高めたい瞑想初心者はマントラ瞑想
マントラを唱えることに意識を向けるので、瞑想が初めての人も、やってみたけど別のことばかり考えて挫折してしまったことがある人にもおすすめできます。
先ほどご紹介したように「オーム」と唱えてもいいですし、好きな言葉を唱えるのもOK。
マントラと雑念の2つに同時に意識を向けるのはできないので、雑念がわいたらマントラにもどす!
これを繰り返して、雑念を抑えることに慣れましょう。
ビジネスの場に取り入れたいならマインドフルネス瞑想
Google社やAppleでも取り入れているマインドフルネス瞑想。
先駆者たちの経験を参考にできる点と、宗教色がない点で、ビジネスの場に取り入れる瞑想としておすすめします。
Google社の実践方法は書籍にもなっています。
『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』についての詳細はこちら
瞑想の雰囲気をガッツリ体験してみたい人には座禅
全国各地に座禅会(座禅の体験)ができるお寺がたくさんあり、初心者でも参加しやすい座禅会もあります。
瞑想とはどんなものなのか、体験してみるのもいいでしょう。
一度は聞いたことがあるような有名なお寺での座禅会や、無料で参加できる座禅会もあるので、チェックしてみてください。
座禅が体験できるお寺はこちら
瞑想のことをもっと知りたい!そう思ったら資格にチャレンジ
瞑想のことをもっと知りたい!という方におすすめな資格は、「瞑想インストラクター」の資格です。
人に教えるための資格と思われますが、受験資格がなく、受験料も10,000円(税込)と比較的お手軽なので、知識を深めるためとして挑戦するのも良いでしょう。
瞑想インストラクターは、日本インストラクター技術協会が発行する、マインドフルネス瞑想の資格です。
マインドフルネス瞑想の知識だけでなく、その他の瞑想の違いや感情のコントロール法などの知識が深まるのもおすすめポイントです。
2ヶ月ほどのオンライン資格講座を受けると受験に必要な知識を身につけることができ、正答率70%以上で合格となります。
また、試験は2ヶ月に1度あり、自宅で受験ができます。
瞑想インストラクターについての詳細はこちら