レモングラスは、その名の通り「レモン」に似た香りを持つハーブです。
その爽やかな香りは人気が高く、ハーブティーとしても親しまれています。肉や魚の臭み消しとして料理に活用されたり、植物香料として石鹸や香水、化粧品などに使われたりすることも。
私たちの身の回りで幅広く活躍するレモングラスの精油には、どんな効果や使い方があるのでしょうか。
今回は、レモングラス精油の特徴や効果、おすすめの使い方についてご紹介しています。日常をより快適にしてくれるアロマなので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
レモングラス精油の基本情報
名前 | レモングラス |
学名 | Cymbopogon flexuosus(キンボポゴン フレクスオスス 東インド産) Cymbopogon citratus(キンボポゴン キトラトゥス 西インド産) |
科名 | イネ科 |
産地 | インド、インドネシア、スリランカ、ネパール、中国など |
抽出部位 | 葉 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | ミドルノート |
香り | ほんのり土っぽさを纏ったレモン様の香り |
成分 | シトラール、ゲラニオール、メチルヘプテノンなど |
レモングラス精油はどんな香り?
シトラールという成分を含み、レモンに似た香りを放つのが特徴です。そのため、レモングラスはハーブの一種ですが、香りの系統では「柑橘系」に分類されます。
また。レモングラスの中でも、マレーシアやスリランカなどの西インド地方で栽培されるものは、ミルセンという成分を多く含むため、やや土っぽい香りを感じやすいと言われます。一方、カンボジアやインドなどで採れるレモングラスは、シトラールを多く含み、レモンの香りがより力強いことで有名です。
レモングラスの特徴
レモングラスは、インド原産のイネ科のハーブです。主に熱帯地方で育つ多年草の草木は、1.5m以上の高さに成長します。
コレラなどの感染症や発熱に効くものとして、数千年前からインドや中国を中心にアーユルベーダやユナニ医学などで用いられたとか。
また、17世紀にはオランダの医師Jacobu de Bondtが「ジャワの人たちは魚の煮物に、マレーの女性は浴用や温湿布で」レモングラスなどのキンボポゴン属を用いたとする記述を残しているそうです。
現在でも、西インド種のレモングラスは、エスニック料理の香りづけや、ハーブティーとして親しまれています。精油の原料として使用されるのは、東インド産のレモングラスが多く、石鹸や香水、化粧品などの植物香料として幅広く活用されます。
レモングラス精油の効果効能
ハーブティーやエスニック料理の香りづけとしても使われるレモングラス。その精油には、どのような働きがあるのでしょうか。ここでは、レモングラス精油の効果や効能についてご紹介します。
レモングラス精油の効果効能①:リフレッシュ効果
爽やかでリフレッシュ効果のイメージが強いレモングラスですが、実はリラックス効果も兼ね備えた心強いアロマです。
気分を明るく、晴れやかにするだけではなく、安心感も与えてくれます。
気持ちを切り替えたいとき、ストレスから解放されてリラックスしたいときなどに香りを楽しむと、心の健康をサポートしてくれます。不安や緊張を鎮めたいときにも活用してみましょう。
レモングラス精油の効果効能②:集中力UP効果
レモンに似た爽やかな香りは、眠気を覚まし、脳の働きを活性にしてくれることで有名です。車の運転時のように、特に集中が必要な場面での使用に向いているため、「ドライバーズ精油」と呼ばれることも。
仕事や勉強、家事などの作業効率を上げたい場面で活躍してくれるでしょう。
レモングラス精油の効果効能③:筋肉疲労や関節痛の緩和
血行を促す作用があることから、運動による筋肉疲労を回復させると言われています。
また、肩こりや冷え、むくみにも効果的なため、レモングラス精油を使ったオイルでマッサージするのがおすすめです。
さらに、炎症や痛みを鎮める作用を持つため、関節痛や筋肉痛などの痛みにも活用できます。
レモングラス精油の効果効能④:認知症対策にも
超高齢社会と表現される日本では、65歳以上の約4人に1人が認知症に該当すると言われています。脳の働きを活性化するレモングラス精油が、この認知症に対して有用であることを示した報告も存在します。
具体的には、認知症を発症している25名に、日中の2時間程度·12日間の芳香浴を行なってもらったところ、「周囲への関心、不安、幻覚、妄想」などの精神症状や不眠が緩和されたそうです。
レモングラス精油の効果効能⑤:抗菌·抗ウイルス効果
抗菌·抗ウイルス作用により、空間に香りを広げるだけでも空気をキレイにしてくれます。
雑菌由来の臭いにも有効なため、玄関やトイレ、靴箱などへの使用にも向いています。
また、レモングラス精油の主成分「シトラール」には虫が嫌がる成分が含まれており、防虫にも効果的です。
蚊やハエ、ダニなどの虫にも使えるため、特に暖かい時期にはキッチンやゴミ箱にレモングラス精油入りのアロマスプレーを小まめに吹きかけると、臭いや虫の発生を防いでくれます。
さらに、水虫の原因菌に対する抗菌作用が認められた報告もあります。
出典:(公社) 日本アロマ環境協会「炎症の原因物質TARCに精油が与える影響」
レモングラス精油のおすすめブレンド
精油はいくかの種類を組み合わせることで、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。
また、精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。レモングラス精油はミドルノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、トップノートタイプやベースノートタイプの精油と組み合わせるのがおすすめです。
ここでは、レモングラス精油とのブレンドにおすすめの精油を目的別にご紹介します。
以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
リフレッシュ&集中力UP
- ローズマリー
- ティートリー
- シダーウッド
冷え性やむくみ、コリなどの改善に
- スイートマージョラム
- ラベンダー
- ジンジャー
虫除け対策に
- ゼラニウム
- ローズマリー
- ユーカリ
レモングラス精油はこのような方におすすめ
レモングラス精油の特徴や効果などをお伝えしてきましたが、ここでは具体的にどんな方におすすめなのかをご紹介しています。
以下を参考に、さらに効果的にアロマを使いこなしてみてください。
- 気分転換したい方
- 不安や緊張を鎮めたい方
- 前向きになりたい方
- 眠気を覚まし、集中力を高めたい方
- 冷えやむくみ、コリなどを改善したい方
- 運動後の疲労回復に役立てたい方
- 関節痛などの痛みを和らげたい方
- 雑菌由来の臭いを解消したい方
- 虫除け対策に役立てたい方
- 天然成分でウイルスやカビ対策、水虫ケアを行いたい方
おすすめの使い方
レモングラス精油は、芳香浴以外にも、おすすめの使い方があります。
例えば、レモングラス精油を使ったオイルで手脚のマッサージを行えば、血行促進効果でむくみの改善が期待できます。ただし、レモングラス精油は肌に刺激を与える可能性があるため、少量から慎重に試しましょう。
なお、精油は植物の有効成分を高濃度に含んでいるため、肌に直接つけることができません。
マッサージやアロマスプレーなどで肌に使用する場合は、必ずキャリアオイルや水など、他の素材で薄めてください。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1~0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(精油0.05ml/滴)
レモングラス精油は抗菌作用や防虫効果などの嬉しい効果を持つため、例えば、以下のような方法で日常生活に役立ててみてください。
爽やかアロマスプレー
虫が嫌がる成分を含むレモングラス精油でアロマスプレーを作れば、天然成分の虫除けスプレーが出来上がります。特に臭いや虫の発生が心配な暖かい季節には、キッチンやゴミ箱にシュッと吹き掛けるのがおすすめです。
菌やウイルスを不活性化しながら、爽やかな香りを広げてくれるため、ルームスプレーとして使用するのも良いでしょう。
〈アロマスプレーの作り方〉完成量100ml
- レモングラス精油…20滴(0.05ml/滴)
- 水または精製水…90ml
- 無水エタノール…10ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性のスプレー容器
※よく振ってから使用してください。
※直射日光や高温多湿を避けて保管し、1~2週間以内を目安に使い切りましょう。
※上記は濃度1%になるレシピなので、顔への使用は避けましょう。マスクスプレーなどに活用する場合は、精油濃度0.5%以下の低濃度で作成することをおすすめします。
「おすすめのブレンド」で紹介した精油と組み合わせると、ブレンドアロマスプレーが作れます。レモングラスと同じく虫除け効果や抗菌効果が高い「ゼラニウム」、リフレッシュ効果が高い「ローズマリー」などと組み合わせるがおすすめです。
その場合も、精油の合計量が上記を超えないように作成します。香りの感じ方には個人差があるので、最初は少ない量から試し、自分が心地よいと感じる量で楽しみましょう。
アロマ消臭剤
お掃除で活躍する重曹をアロマと組み合わせると、消臭剤として使用できます。
特に、下駄箱のニオイや湿気対策におすすめの方法なので、レモングラス精油などのアロマを使って試してみてください。いくつかの精油をブレンドして作成するのもいいですね。
アロマ消臭剤の作り方
- レモングラス精油…合計10滴
- 重曹…100g前後
- ジャムの空きビン
- ガーゼ
- 輪ゴム
- スプーン
さっぱり!アロマハンドソープ
爽やかな香りと抗菌効果を持つレモングラス精油を使うと、さっぱりとしたオリジナルハンドソープが手作りできます。自分好みの精油と組み合わせれば、手を洗うたびにお気に入りの香りに癒されるでしょう。
アロマハンドソープの作り方
- レモングラス精油…5~8滴
- シダーウッド精油…5~8滴
- ラベンダー精油…12~15滴
- 無添加せっけん…200ml前後
- 用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、ハンドソープ容器(遮光性)
※せっけんは、液体タイプと泡タイプどちらでも大丈夫ですが、なるべくせっけん素地だけのものを選びましょう。
※使用期限は1ヶ月を目安に、早めに使い切りましょう。
※レモングラス精油は肌に刺激を与える場合があるため、まずは少量から慎重に使いましょう。
レモングラス精油を扱う際の禁忌・注意点
リラックス効果やリフレッシュ効果などに加え、血行促進や虫除けといった幅広い効果を持つレモングラス精油ですが、注意すべき点も存在します。
レモングラス精油はアロマの中でも香りが強く、作用も強いため、少量から試すことが大切です。
成分中のテルペン系アルデヒド類は、肌に刺激を与える可能性があるため、マッサージなどで肌に使用する場合はパッチテストを行うなど慎重に使いましょう。
また、眠気を覚まし、脳を活性化する作用に優れているため、寝る直前の使用には向いていません。
さらに、通経作用を持つため、妊娠中の使用には注意が必要です。ラットでの実験により眼圧が上昇した報告があることから、緑内障の方の使用も注意が必要と言われています。
まとめ
今回は、レモングラス精油の特徴や効果、おすすめの使い方などについてご紹介しました。
爽やかな香りで、菌や虫から私たちを守ってくれるレモングラス精油は、1年中快適な生活をサポートしてくれそうですね。
使い方にも注意しながら、心地よい方法でアロマを取り入れてください。