ゆずは、料理やスキンケアアイテムなど、あらゆるシーンで活躍する柑橘です。日本では1年で最も昼の時間が短い「冬至」に、健康を祈ってゆず湯に入る文化が根付いています。また、夏にはほろ苦さと酸味が爽快感をもたらしてくれる、ゆずジュースがピッタリです。
私たちにとって馴染み深いゆずの精油には、どのような魅力があるのでしょうか。今回は、ユズ精油の効果や効能、おすすめの使い方についてご紹介します。リラックス効果やスキンケア効果があり、心身を癒す心強いアロマなので、アロマテラピーにおけるユズ精油の特徴をチェックしてみてください。
ユズ精油の基本情報
名前 | ユズ |
学名 | Citrus junos(キトルス ユノス) |
科名 | ミカン科 |
産地 | 日本、中国など |
抽出部位 | 果皮 |
抽出方法 | 圧搾法、水蒸気蒸留法 |
ノート | トップノート |
香り | 柑橘の酸味の中にほろ苦さが広がる香り |
成分 | リモネン、γ-テルピネン、α-ピネンなど |
ユズ精油はどんな香り?
香りの系統:柑橘系
ユズ精油は、シトラス調の中にやや苦味を含む爽やかな香りが特徴です。日本人に古くから馴染みある香りは、柑橘系の明るさに加えて、安心感を与えてくれる温かさも持ちあわせています。
ユズ精油の特徴
ユズは中国原産の常緑高木で、柑橘の中で最も寒さに強いことで有名です。日本には奈良時代に渡ったと言われ、古くから料理などに欠かせない柑橘として親しまれてきました。冬至にゆず湯に入る文化は江戸時代に始まったそうです。
昨今では、日本はユズ生産量・消費量ともに世界一を誇り、国内生産量の約半数が高知県をはじめとする四国の各県で栽培されています。
また、ユズは種を蒔いてから実をつけるまでに、20年程の長い年月がかかると言われます。成長に時間が必要なうえに、尖った枝が実や人の手を傷つける場合があるため、栽培管理の大変さも特徴の1つです。
精油はユズの果皮から、主に圧搾法という方法で抽出されます。ただし、圧搾法で得られる精油には皮膚に刺激を引き起こす光毒性成分が含まれる場合があります。
そこで、スキンケアアイテムなどにユズ精油を取り入れる場合は、水蒸気蒸留法で得られるものを使うのがおすすめです。水蒸気蒸留法で得られたユズ精油は、光毒性成分を含まず、圧搾法で得られるものよりもやさしく香ります。
光毒性とは
柑橘系精油の中には、日光中の紫外線と反応して、肌にシミやかぶれなどの炎症を起こす「光毒性」を持つものがあります。
例えば、ベルガモットは光毒性を起こす「ベルガプテン」という成分を多く含むことで知られており、精油を肌へ使用する際には注意が必要です。光毒性の有無や強さは柑橘の種類によって異なりますが、圧搾法で得られたユズ精油にも微量の光毒性成分が含まれることがあるそうです。
ユズ精油の効果・効能
ユズは、料理の風味づけやスイーツの主役としても人気の柑橘ですが、アロマテラピーで使用する精油にはどのような働きがあるのでしょうか。ここでは、ユズ精油の効果や効能についてご紹介します。
リラックス効果
柑橘系精油の香りは、瑞々しさや酸味を持ち、フレッシュなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。ユズ精油も、気分転換にはもちろんのこと、リラックスタイムにも使用可能な使いやすいアロマです。
鎮静作用がある「リモネン」という成分を含むため、活発になった交感神経の働きを穏やかに鎮めてくれます。不安や緊張、イライラなどで心が乱れたときに取り入れるとよいでしょう。
また、ユズの爽やかで温かみある香りは、落ち込んだ心を前向きにしたいときにもぴったりです。考え事をしてなかなか寝付けないときにも、リラックス効果で心地よい眠りに導いてくれます。就寝前や就寝中の芳香としてもおすすめです。
血行促進効果
ユズ精油に含まれる「リモネン」などには血行を促進し、代謝を高める働きがあるとされ、体を温めたいときにも適しています。寒い季節や慢性的な冷えの症状にも心強いアロマです。
疲労回復や免疫機能をサポートする効果も期待できるため、風邪予防にも向いています。さらに、胃腸の働きを高める作用もあり、消化不良や便秘、食欲不振などの改善をサポートしてくれます。
スキンケア効果
ユズは、肌のターンオーバーを助ける作用や保湿効果を持つことで知られ、多くの化粧水やクリームに使われてきました。血行促進作用に加え、殺菌作用も期待できるため、シャンプーなどに配合されて頭皮ケアに用いられることも。フケや抜け毛などの頭皮トラブルの改善をサポートしてくれます。
ユズ精油のおすすめブレンド
精油はいくかの種類を組み合わせることで、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。ユズ精油は、特に柑橘系全般やフローラル系の精油と相性がよいアロマです。
また、精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。ユズ精油はトップノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、ミドルノートタイプやベースノートタイプの精油と組み合わせるのがおすすめです。
ここでは、ユズ精油とのブレンドにおすすめの精油を香りの系統別にご紹介します。以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
柑橘系
・スイートオレンジ
・レモン
・シトロネラ
・ベルガモット
フローラル系
・ネロリ
・ラベンダー
・ゼラニウム
・ローズ
その他
・クラリセージ
・ジンジャー
・ヒノキ
・サイプレス
・ジュニパー
・パルマローザなど
ユズ精油はこのような方におすすめ
ユズ精油の特徴や効果などをお伝えしてきましたが、ここでは具体的にどんな方におすすめなのかをご紹介しています。
以下を参考に、さらに効果的にアロマを使いこなしてみてください。
・緊張やイライラを鎮めてリラックスしたい方
・リフレッシュして前向きな気分になりたい方
・睡眠の悩みを改善したい方
・冷えやむくみを解消したい方
・便秘を和らげたい方
・食欲不振を改善したい方
・免疫力を維持して風邪を予防したい方
・肌の乾燥をケアしたい方
・フケや抜け毛を改善したい方など
ユズ精油のおすすめの使い方
ユズ精油は香りを楽しむだけでも、リラックス効果やリフレッシュ効果などが期待できるアロマです。おすすめのブレンドで紹介した精油などを組み合わせて、お気に入りのブレンドを見つけてみてください。気軽に香りを取り入れたいときには、火や電気を使わずに芳香浴ができる「アロマストーン」などのアイテムを使うのがおすすめです。
また、ユズ精油は心のバランスを保つだけではなく、消化器系のトラブル改善やスキンケアにも役立つアロマです。次のような方法で日常生活に役立ててみてはいかがでしょうか。
なお、植物の有効成分を高濃度に含む精油は、刺激が強く、肌に直接使用することができないため、注意が必要です。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1〜0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(0.05ml/滴)
冷えを撃退するトリートメントオイル
鎮静作用や血行促進、保湿作用などが期待できるユズ精油を使えば、心身を温め癒してくれるトリートメントオイルが作れます。
ぜひ毎日のケアに活用してみてください。
〈トリートメントオイルの作り方〉完成量50ml
用意するもの
・ユズ精油(水蒸気蒸留)…5滴
・ジンジャー精油…2滴
・キャリアオイル(植物油)…50ml
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性の保存容器
ビーカーにキャリアオイルを入れ、精油を加える。
ガラス棒でよく混ぜ合わせ、保存容器に移したら完成。
- キャリアオイルは、肌馴染みの良いスイートアーモンドオイルやマカデミアナッツオイルがおすすめです。そのほか、保湿効果の高いホホバオイルなどがあります。
- 上記はボディ用のレシピですが、精油濃度を0.1〜0.5%以下にすると、フェイス用として使用することもできます。肌タイプにも個人差があるため、パッチテストを行うなどして慎重に使いましょう。スパイス系のジンジャー精油は刺激が強いため、特に敏感肌の方は低濃度から試しましょう。
- 直射日光や高温多湿を避けて保管し、1ヶ月以内を目安に早めに使い切りましょう。
ここでは、トリートメントにおすすめのブレンドとして、ジンジャー精油と組み合わせたレシピをご紹介しました。ユズ精油(水蒸気蒸留法)で化粧水やクリームなどを作る際には、他にも以下のようなアロマをブレンドすると、スキンケアの相乗効果が期待できるでしょう。
- ラベンダー
- ネロリ
- ゼラニウム
- ローズ
- サンダルウッド
- フランキンセンス
など
保湿リップクリームの作り方
保湿作用を持ち、肌のターンオーバーを促すユズ精油は、リップケアにも適しています。爽やかでどこか懐かしいユズの香りに癒されながら、保湿ケアできるのが嬉しいポイントです。
・ユズ精油(水蒸気蒸留法)…1滴
・ミツロウ…2g
・キャリアオイル…7ml
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、コンロ、鍋、リップ容器(5ml用)など
ビーカーにミツロウとキャリアオイルを入れ、弱火で湯煎にかける。
ミツロウが完全に溶けたら、ガラス棒や竹串でよく混ぜ合わせ、火を止める。
ビーカーをお湯から取り出し、粗熱が取れたら精油を加え、素早く混ぜ合わせる。
③をリップ容器に素早く流し込み、完全に冷めて固まるまで置いておく。
- キャリアオイルは、ホホバオイルやスイートアーモンドオイル、アルガンオイルなどがおすすめです。
- 湯煎の際は、火傷に注意しましょう。また、ビーカーの中に鍋のお湯や水滴が入らないように気をつけて行いましょう。
- ミツロウが付着した用具は、固まらないうちに拭き取ってください。
- 高温多湿や火器を避けて保管しましょう。
- 1ヶ月を目安に使い切りましょう。
ユズ精油の禁忌事項・注意点
ユズ精油は、日本人にとって馴染み深い柑橘から得られ、心身のケアをサポートしてくれる心強いアロマです。ただし、アロマテラピーとして安全かつ効果的に取り入れるために、気をつけたいポイントもあります。
ユズ精油はスキンケアにも役立ちますが、高濃度で使用すると皮膚刺激を起こす場合があります。スキンケア目的で取り入れる場合は、刺激が少ない水蒸気蒸留法で得られたユズ精油を使い、低濃度から慎重に試しましょう。
もし、圧搾法(光毒性成分を含む場合がある)によるユズ精油を肌に使う場合は、使用後に直射日光へ当たらないようにしましょう。なお、ユズ精油はアロマバスなどの沐浴使用で皮膚刺激がより強くなると言われています。敏感肌の方は特に注意が必要です。
ユズ精油をはじめとする柑橘系精油は、酸化しやすいため、開封後は半年以内を目安に早めに使い切りましょう。
そのほか、アロマテラピーで使用する精油を扱う際に、特に注意が必要な場合もあります。「【初心者向け】アロマの始め方|揃えるもの・おすすめのアロマ・扱い方の注意点」では、精油を選ぶときや扱う際の注意点も紹介しています。こちらも参考に、安全にアロマを楽しみましょう。
最後に
今回は料理やスキンケア商品など、身近な場所で活用されている柑橘、ゆずの精油を取り上げました。「ユズ精油の効果・効能」でもご紹介したように、ゆずに含まれる成分には私たちの心身を癒す作用があります。古くから人々に親しまれてきたことにも、納得いただけたのではないでしょうか。
ユズ精油はスキンケアにも活用できますが、香りの感じ方や肌タイプの個人差を考慮して、少しずつ試しましょう。心をやさしく元気づけてくれるほろ苦く爽やかな香りは、特に柑橘系やフローラル系のアロマと馴染みやすいため、まずはオリジナルのブレンドを気軽に楽しんでみてください。
精油には、それぞれに特徴があり、多様な効果・効能を持っています。もっとアロマを知って、暮らしに取り入れたい!と思ってくださった方は、ぜひほかの精油を紹介した記事もチェックしてみてください。