クスノキは、日本に生息する樹木で、大木に育つ力強い一面を持ちます。神社や公園などに植えられている場合も多く、古くから私たち日本人を見守る存在でした。和精油に数えられるクスノキ精油は、樟脳を思わせるようなシャープで刺激的な香りが特徴です。
この記事では、クスノキ精油の特徴や効果、おすすめブレンドなどについてご紹介します。
クスノキ精油を暮らしに取り入れる際の、おすすめの使い方も解説しているため、ぜひ最後までチェックしてみてください。
クスノキ精油の基本情報
名前 | クスノキ(樟) |
学名 | Cinnamomum camphora(キンナモムム カンフォラ) |
科名 | クスノキ科 |
産地 | 日本、ベトナム、台湾、中国など |
抽出部位 | 木部 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | トップ〜ミドルノート |
香り | 樟脳のような、シャープで刺激的な香り |
成分 | カンファー、サフロール、α-テルピネオール、リモネン、1,8-シネオール、p-シメンなど |
クスノキ精油はどんな香り?
クスノキは、防虫剤として知られる「樟脳」が得られる植物です。クスノキ精油も、樟脳や薬を思わせる、シャープで刺激的な香りがします。また、ウッディ調のアロマらしく、木々を想起させる爽やかさと力強さを持つのも特徴です。特に、リフレッシュしたいときや集中力を高めたいシーンでおすすめの香りです。
クスノキ精油の特徴
クスノキは日本の本州や九州、四国などに分布するほか、台湾や中国といった東アジアの暖かい地域で見られます。大きく成長するのが特徴で、木の高さや幹の太さが20mを超えることもあるそうです。
日本では、街路樹のほか、神社や公園で人々を見守るシンボルとして親しまれています。クスノキは、防虫剤として有名な樟脳が採取できる植物で、古くから重宝されてきました。樟脳は刺激的な香りで知られていますが、クスノキ自身も遠くからでもわかる特有の香りを放ちます。
名前の由来は諸説あるものの、昔から塗り薬や強心剤などとしても使われたため、「薬の木」が変化してクスノキになったという説が有名です。
精油は木部から水蒸気蒸留法で得られ、ヒノキやクロモジなどと同じく和精油に数えられます。
クスノキ精油は蒸留方法によって毒性成分サフロールの含有量などが異なり、ホワイトカンファー、イエローカンファー、ブラウンカンファーの3つに分類されるのが特徴です。アロマテラピーとしては、3分類のうちでホワイトカンファーしか使用できません。
親しみやすい香りに癒される和精油
日本の風土で育まれた植物から得られる精油は「和精油」と呼ばれ、近年注目を集めています。
日本人に馴染みある和精油の香りは、「懐かしさ」や「和みのひと時」をもたらしてくれるのが特徴です。クスノキ精油のほかに以下のような種類があります。
- ユズ
- スギ
- ヒノキ
- ヒバ
- クロモジ
- ハッカ
- トドマツ
など
クスノキ精油の効果・効能
クスノキは衣類の防虫剤として使われる樟脳の原料となる植物なので、香りをイメージしやすい方が多いかもしれません。ここでは、クスノキ精油の主な効果・効能をご紹介します。
リフレッシュ&リラックス
クスノキ精油のシャープな香りは、リフレッシュ効果抜群で、気持ちを切り替えたいときにおすすめです。
また、ウッディ調の爽やかな香りは、心を穏やかにしてくれる作用も期待できます。アロマで癒されたいとき、気分転換したいときなどに活用できるでしょう。
ただし、クスノキ精油は香りが強いのが特徴で、使用量が多いと頭痛や吐き気を引き起こすこともあります。1滴から、穏やかに香らせることが大切です。
集中力の向上
クスノキ精油の芳香成分が脳や神経の働きに作用するため、思考をクリアにしたり、集中力を高めたりする効果が期待できます。
眠気を吹き飛ばしたいとき、仕事や勉強の作業効率を高めたいときに取り入れるとよいでしょう。
血行促進&呼吸器不調の緩和など
血行を促すため、むくみや冷えの解消に適しています。筋肉痛の緩和やコリの解消には、トリートメントオイルに少量を混ぜて使うのがおすすめです。抗炎症作用が呼吸器不調に働きかけるため、咳や鼻づまりなどを緩和してくれます。
抗炎症作用に加え、皮脂分泌量を整える作用も期待できることから、ニキビの改善にも役立つといわれます。
しかし、クスノキ精油は皮膚に刺激を与える場合があるため、低濃度から慎重に使いましょう。
抗菌・抗ウイルス作用
クスノキ精油は抗菌作用や抗ウイルス作用も期待でき、お部屋の空気を清潔に保ったり、ニオイを防いだりするために効果的です。香りを楽しむほか、拭き掃除などのハウスキーピングに活用するとよいでしょう。
また、クスノキ精油は防虫効果でも知られています。特に衣類の防虫に優れているため、衣装ケースの近くで香らせたり、クローゼットの掃除に取り入れたりするのがおすすめです。
クスノキ精油のおすすめブレンド
精油はいくつかの種類を組み合わせることで、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。
クスノキ精油はスッと爽やかなハーブ系やウッディ系の香りに加え、フローラル系のラベンダー精油やカモミール精油などの香りと好相性です。香りが強いので、ブレンドのアクセントとして少量使う方法をおすすめします。
また、精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。クスノキ精油はトップ〜ミドルノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、ミドルノートタイプやベースノートタイプの精油と組み合わせるのがおすすめです。
ここでは、クスノキ精油とのブレンドにおすすめの精油を香りの系統別にご紹介します。
以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
ハーブ系
・ハッカ
・ローズマリー
・クラリセージ
柑橘系
・メリッサ
・ベルガモット
・スイートオレンジ
ウッディ系
・ジュニパー
・ユーカリ
・カプユテ
・ヒバ
クスノキ精油のおすすめの使い方
和精油としても注目を集めるクスノキ精油は、さまざまな効果が期待でき、暮らしに役立つ存在です。
ここでは、クスノキ精油を使った「アロマスプレー」や「トリートメントオイル」の作り方などをご紹介します。以下を参考に、自分に合った方法で取り入れてみてください。
アロマスプレー
クスノキ精油はアロマスプレーにすると、ニオイ対策や防虫など、幅広い用途で活用できます。おすすめブレンドを参考に、好みの香りと合わせて使うのもおすすめです。
〈アロマスプレーの作り方〉完成量100ml
用意するもの
・クスノキ精油…20滴(0.05ml/滴)
・水または精製水…90ml
・無水エタノール…10ml
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性のスプレー容器
ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加える。
ガラス棒や竹串でよく混ぜる。
水を加えてよく混ぜ合わせたら、スプレー容器に移して完成。
※精油の濃度が1%以上になるため、肌への使用は避けてください。
※よく振ってから使用してください。
※直射日光や高温多湿を避けて保管し、1〜2週間以内を目安に使い切りましょう。
※「おすすめのブレンド」で紹介した精油と組み合わせて作るのもおすすめです。その場合も、精油の合計量が上記を超えないように作成します。香りの感じ方には個人差があるので、最初は少ない量から試し、自分が心地よいと感じる量で楽しみましょう。
トリートメントオイル
血行促進が期待できるクスノキ精油を使えば、むくみ解消や筋肉疲労の回復に役立つトリートメントオイルが作れます。疲れた日のケアに活用してみてはいかがでしょうか。
なお、植物の有効成分を高濃度に配合する精油は、刺激が強く、肌に直接使用することができないため、注意が必要です。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1〜0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するように定めています。(0.05ml/滴)
〈トリートメントオイルの作り方〉完成量50ml
用意するもの
・クスノキ精油…1〜2滴
・スイートオレンジ精油…4滴
・キャリアオイル(植物油)…50ml
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性の保存容器
ビーカーにキャリアオイルを入れ、精油を加える。
ガラス棒でよく混ぜ合わせ、保存容器に移したら完成。
※キャリアオイルは、肌馴染みの良いスイートアーモンドオイルやマカデミアナッツオイルがおすすめです。そのほか、保湿効果の高いホホバオイルなどがあります。
※上記はボディ用のレシピです。肌タイプにも個人差があるため、パッチテストを行うなどして慎重に使いましょう。
※直射日光や高温多湿を避けて保管し、1ヶ月以内を目安に早めに使い切りましょう。
フットバスで冷え対策
血行促進作用を持つクスノキ精油は、洗面器などの容器にお湯を張って手足を温める、フットバスやハンドバスとして活用するのもおすすめです。
手足の疲労感を和らげながら、リラックス&リフレッシュできるため、心身ともに癒されるでしょう。
また、少ない道具や工程で気軽に行える点もメリットです。
やり方は、洗面器のお湯に、無水エタノール5mlとクスノキ精油1滴を混ぜ合わせたものを加えて準備します。
クスノキ精油は皮膚に刺激を与える場合があるため、洗面器のお湯に対してクスノキ精油1滴から試しましょう。やけどに注意して、ゆっくり手足を温めてください。
クスノキ精油の禁忌事項・注意点
クスノキ精油は血行促進作用、皮脂調節作用などの嬉しい効果があるものの、刺激が強いのも特徴です。
フットバスなどへの活用もおすすめですが、皮膚刺激を引き起こすことがあるため、肌に使用する場合は注意が必要です。特に、敏感肌の方は慎重に扱いましょう。
香りを楽しむ際にも、使用量が多いと吐き気などを誘発するため、少量から試すことが大切です。
また、妊娠中の方、高血圧やてんかん、喘息の症状をお持ちの方、アレルギー体質の方などは刺激となる場合があるため、使用を避けてください。
そのほかにも、アロマテラピーで使用する精油を扱う際に、注意するべきポイントがあります。アロマテラピーは医療ではないため、心身の不調や気になる症状があるときには、医師や専門家に相談することが大切です。
最後に
今回は、クスノキ精油の特徴や効果、おすすめの使い方などについてご紹介しました。
クスノキ精油は樹木の力強さを感じる、樟脳のような香りが特徴です。クスノキ精油は刺激も強いアロマなので、使う際には、少量を取り入れることを意識しましょう。特有の香りは、ブレンドのアクセントとしても存在感を放ってくれます。
使い方に注意しながら、自分に合った方法でアロマを役立ててください。