ブラックペッパーと聞くと、料理で大活躍のスパイスを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。肉料理やサラダのドレッシングなど、あらゆる場面で存在感を発揮するアイテムですよね。
しかし、実はアロマテラピーの分野でも、ブラックペッパー精油は幅広い場面で活躍する存在です。スパイスらしいピリッとした辛さが特徴的な香りは、疲れた心身に活力をもたらす頼れるアロマです。
この記事では、ブラックペッパー精油の効果や効能、おすすめの使い方についてご紹介します。幅広い作用を持ち、ブレンドのアクセントとしても魅力的なアロマなので、ぜひ最後までご覧ください。
ブラックペッパー精油の基本情報
名前 | ブラックペッパー |
学名 | Piper nigrum(ピペル ニグルム) |
科名 | コショウ科 |
産地 | インド、スリランカ、マレーシア、マダガスカルなど |
抽出部位 | 果実(種子) |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | トップ〜ミドルノート |
香り | スパイシーな中に爽やかさと苦味を感じる香り |
成分 | サビネン、リモネン、β-カリオフィレン、α-ピネンなど |
ブラックペッパー精油はどんな香り?
香りの系統:スパイス系
ブラックペッパー精油は、コショウの実から得られる精油で、スパイシーな香りが特徴です。柑橘系の精油に多く含まれるモノテルペン類の芳香成分を含有しており、ピリッとした辛さの中にも爽やかさや苦味が感じられます。
ブラックペッパーはさまざまな料理に使われる調味料として有名ですが、心身を温めるアロマとしても心強い存在です。
ブラックペッパー精油の特徴
ブラックペッパーの原料植物であるコショウは、インドのマラパール地方原産と言われています。コショウは3〜5m程度までつるを伸ばす多年草の植物で、茎に数十個の丸い小さな実をつけるのが特徴です。
このコショウの実は、ブラックペッパーやホワイトペッパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーなどに使われています。緑色の未完熟な実を乾燥させて、表面が黒っぽくなったものがブラックペッパーであり、「ピペリン」という辛味成分が多く含まれています。
一方、実が赤く熟してから収穫し、乾燥させて皮を剥いたものがホワイトペッパーです。
インドでは、4000年以上前から泌尿器系の不調にブラックペッパーが用いられたとされています。その後、紀元前にアラビア人やペルシャ人によって、インドから地中海沿岸地域にも伝えられ、大航海時代には食料を長期保存するためのスパイスとして重宝されました。ギリシャでは、熱病などの病を治すためにも使われたそうです。
ブラックペッパーの精油は、果実から水蒸気蒸留法で抽出されます。産地によって香りに違いがあり、インド産やスリランカ産は清涼感が特徴的なのに対し、マダガスカル産は温かみの中に複雑さが感じられると言われています。
温かさをもたらしてくれるブラックペッパー精油を使って、心と体をストレスや緊張から解放させてみてはいかがでしょうか。
ブラックペッパー精油の効果・効能
ブラックペッパーは、料理に欠かせない調味料として親しまれています。では、アロマテラピーで使われる精油にはどのような働きがあるのでしょうか。ここでは、ブラックペッパー精油の効果や効能についてご紹介します。
活力向上
ブラックペッパー精油のスパイシーな香りは、疲れた心身にエネルギーをもたらしてくれます。ストレスでダメージを受けた心も元気づけ、活力を与えてくれるはずです。
また、ブラックペッパー精油の香りは脳を刺激するため、集中力や記憶力を向上させる効果が期待できます。
仕事や勉強、家事などのやるべき作業の前にブラックペッパー精油の香りを楽しむと、心身をスムーズに活動モードへ導き、モチベーションも高めてくれるでしょう。
血行促進
血行を促進して体を温める作用や心身の緊張を緩和する作用に優れているため、凝り固まった心と体を解放させてくれます。
血行不良による冷えやむくみの改善に役立つだけではなく、筋肉のコリや痛みも楽にしてくれるでしょう。また、冷えなどが原因のしもやけや、傷などの皮膚症状の治りを早める効果も期待できます。
消化器系の不調に
ブラックペッパー精油には、β-カリオフィレンが多く含まれており、腸の働きを活発にし、消化器系の働きを調節してくれる効果が期待できます。また、代謝を促し内臓を温める作用が胃腸機能の向上につながるため、消化器系への負担軽減にも効果的です。消化不良や食欲不振、便秘などの不調が気になる場合に取り入れるとよいでしょう。
上記の他にも、アトピー性皮膚炎の原因物質TARCの産生阻害作用が認められた研究や、唾液の分泌を促す内容が認められた研究報告があります。なお、殺菌効果にも優れているため、風邪の予防や症状緩和にも役立つアロマです。
ブラックペッパー精油とおすすめブレンド
精油はいくかの種類を組み合わせることで、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。ブラックペッパー精油の香りは、柑橘系やフローラル系、オリエンタル系の精油などとのブレンドがおすすめです。
精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。ブラックペッパー精油はトップ〜ミドルノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、ミドルノートタイプやベースノートタイプの精油とバランスよく組み合わせるのがおすすめです。
ここでは、ブラックペッパー精油とのブレンドにおすすめの精油を系統別にご紹介します。
以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。ブラックペッパー精油は香りに存在感があるため、心地よいと感じる量で使用することを心掛けてみてください。
柑橘系
- レモン
- レモングラス
- グレープフルーツ
- ベルガモット
フローラル系
- ローズ
- ゼラニウム
- ラベンダー
オリエンタル系
- サンダルウッド
- パチュリ
ブラックペッパー精油はこのような方におすすめ
ブラックペッパー精油の特徴や効果などをお伝えしてきましたが、ここでは具体的にどんな方におすすめなのかをご紹介しています。
以下を参考に、さらに効果的にアロマを使いこなしてみてください。
- 心に活力を取り戻したい方
- 心身の緊張をほぐしたい方
- 集中力やモチベーションを高めたい方
- 記憶力を高めたい方
- 食欲不振を改善したい方
- 消化不良や便秘を改善したい方
- 冷え性を緩和したい方
- むくみを改善したい方
- 筋肉のコリや痛みを緩和したい方
- 冷えや血行不良によるしもやけを改善したい方
- 傷の治りを良くしたい方など
ブラックペッパー精油のおすすめの使い方
ブラックペッパー精油は、心身を温める作用に優れています。疲れた心も元気にしてくれる心強いアロマです。また、殺菌作用などでも知られ、香りを楽しむだけでも嬉しい効果が期待できます。例えば、火や電気を使わずに芳香浴ができる「アロマストーン」などのアイテムを使えば、気軽に芳香浴を行えておすすめです。
他にも、次に紹介するような方法で日常生活に役立てるのはいかがでしょうか。
なお、植物の有効成分を高濃度に含む精油は、刺激が強く、肌に直接使用することができないため、注意が必要です。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1〜0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(0.05ml/滴)
マッサージオイルの作り方(完成量50ml)
血行を促してくれるブラックペッパー精油を使えば、冷えやむくみ改善に効果的なマッサージオイルが作れます。胃腸の働きを高めるためにも役立つため、便秘解消などのマッサージに取り入れるのもおすすめです。
ぜひ、毎日のケアに活用してみてください。
用意するもの
・ブラックペッパー精油…4滴
・ゼラニウム精油…3滴
・キャリアオイル(植物油)…50ml
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性の保存容器
ビーカーにキャリアオイルを入れ、精油を加える。
ガラス棒でよく混ぜ合わせ、保存容器に移したら完成。
血行促進効果を高めたい場合は、ジンジャー精油などと組み合わせるのもおすすめです。しかし、ブラックペッパー精油もジンジャー精油も肌に刺激を与える場合があるため、敏感肌の方は慎重に使いましょう。
- キャリアオイルは、肌馴染みの良いスイートアーモンドオイルやマカデミアナッツオイルがおすすめです。そのほか、保湿効果の高いホホバオイルなどがあります。
- 上記はボディ用マッサージオイルのレシピです。ブラックペッパー精油は皮膚に刺激を与えることがあります。肌タイプにも個人差があるため、パッチテストを行うなど慎重に使いましょう。特に敏感肌の方は、より低濃度から試すことをおすすめします。万が一皮膚に違和感があった場合は、使用を中止し、流水で洗い流してください。
- 直射日光や高温多湿を避けて保管し、1ヶ月以内を目安に早めに使い切りましょう。
アロマスプレーの作り方(完成量100ml)
ブラックペッパー精油の香りは疲れた心に活力を与え、やる気や集中力の向上に役立ちます。アロマスプレーとして持ち運べば、外出先でも気軽に香りが楽しめておすすめです。また、ブラックペッパーは殺菌効果も期待できる精油です。ティートリーやユーカリなど、他の殺菌効果が高い精油と組み合わせてマスクスプレーとして活用するのもよいでしょう。
好みの香りを組み合わせて、自分専用のアロマスプレーを作ってみてください。
用意するもの
・ブラックペッパー精油…20滴
・水または精製水…90ml
・無水エタノール…10ml
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性のスプレー容器
ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加える。
ガラス棒や竹串でよく混ぜる。
水を加えてよく混ぜ合わせたら、スプレー容器に移して完成。
- よく振ってから使用してください。
- 直射日光や高温多湿を避けて保管し、1〜2週間以内を目安に使い切りましょう。
- 上記は濃度1%になるレシピなので、顔への使用は避けましょう。マスクスプレーなどに活用する場合は、精油濃度0.5%以下の低濃度で作成することをおすすめします。
- 他の精油とブレンドして100mlのアロマスプレーを作成する場合も、精油合計量が上記を超えないようにします。例えば、ティートリーやユーカリと組み合わせる場合は、ブラックペッパー:ティートリー(またはユーカリ)=3:2程度の比率でブレンドするのがおすすめです。
ブラックペッパー精油の禁忌事項・注意点
ブラックペッパー精油は、刺激的でスパイシーな香りが心身に活力を与えるだけではなく、血行促進や消化器系の不調緩和など、幅広い作用が期待できるアロマです。以下のポイントに注意しながら、ブラックペッパー精油を取り入れてみましょう。
ブラックペッパー精油は、血行不良や冷えが原因で起こるしもやけなどの改善に役立ちますが、肌に刺激を与える場合があります。敏感肌の方は特に注意が必要です。肌に触れる方法でブラックペッパー精油を取り入れる場合は、低濃度から試し、パッチテストを行うなど慎重に使いましょう。
また、高濃度で使用すると肝臓に刺激を与える場合があるため、使用量に注意するとともに、肝臓疾患をお持ちの方は使用を控えてください。
上記のように、刺激が認められる精油なので、妊娠初期などの使用も避けた方が無難です。
なお、精油を扱う際に、特に注意が必要な場合もあります。例えば、病気を治療中の方、処方されている薬がある方などがアロマテラピーを楽しむ際には、医師や専門家に相談の上、体調に配慮しながら行うことが大切です。
「【初心者向け】アロマの始め方|揃えるもの・おすすめのアロマ・扱い方の注意点」では、植物の有効成分を高濃度に含んだ精油を選ぶ際や扱うときの注意点をご紹介しています。ぜひ、こちらもチェックして、安全にアロマを楽しんでください。
最後に
今回は、ブラックペッパー精油の効果・効能や、おすすめの使い方についてご紹介しました。ブラックペッパー精油は、ストレスなどでダメージを受けた心身に活力をもたらすだけではなく、冷えや消化器系の不調、血行不良が原因の皮膚症状など、あらゆるシーンで活用できるアロマです。
まずは、好きなアロマとブレンドして、気軽に香りを取り入れてみてはいかがでしょうか。