ベルガモットは、食品の香りづけや香水など、さまざまなシーンで香料として使われている植物です。
アロマテラピーに馴染みのない方でも、ベルガモット精油は柑橘系の爽やかな香りが親しみやすいため、年齢や性別を問わず人気を集めています。
今回は、このベルガモット精油の特徴や効果、おすすめの使い方についてご紹介します。日々の暮らしをより豊かに、心地よくしてくれるアロマなので、自分に合った方法で取り入れてみてください。
ベルガモット精油の基本情報
名前 | ベルガモット |
学名 | Citrus bergamia(キトルス ベルガミア) |
科名 | ミカン科 |
産地 | イタリア、モロッコ、南フランスなど |
抽出部位 | 果皮 |
抽出方法 | 圧搾法 |
ノート | トップノート |
香り | 柑橘系の爽やかでポジティブな香り |
成分 | リナロール、酢酸リナリル、リモネン、ベルガプテンなど |
ベルガモット精油はどんな香り?
香りの系統:柑橘系
爽やかでほんのり苦味のあるベルガモットの香りは、特に人気のアロマです。圧搾法という熱を使わない方法で抽出されるベルガモット精油は、繊細な香りが特徴で、シトラスのみずみずしさの中にもフローラル感があり、上品な印象を与えてくれます。
アールグレイ紅茶の香りづけにも使われており、ベルガモット由来の爽やかなフレーバーが楽しめます。気分を明るく・軽やかにしてくれる香りなので、ほっと一息リラックスしたい時にも、リフレッシュして気持ちを切り替えたい時にもおすすめです。
ベルガモット精油の特徴
ベルガモットは、主に地中海沿いの地域で栽培されているミカン科の植物で、高さ3~4m程に成長する樹の枝に大きなトゲを持つのが特徴です。ベルガモットの原種は未だ解明されていませんが、ビターオレンジとマンダリンオレンジを掛け合わせて誕生したという説が最も知られています。
また、名前の由来にも諸説あるようですが、イタリア北部の「ベルガモ」やスペインの「ベルガ」という場所が原産地であったため、ベルガモットという名がついたという説が有名です。
18世紀初頭頃からイタリアで栽培されるようになったと言われており、香水をはじめ、お茶やお酒などの香りづけに欠かせない香料として愛されてきました。現在では、日本でも四国などの一部地域で栽培されています。
ベルガモット精油の効果・効能
古くから香料として愛されてきたベルガモットの精油には、どんな働きがあるのでしょうか。
ここでは、ベルガモット精油の効果や効能についてご紹介します。
ベルガモット精油の効果・効能①:リラックス効果
ベルガモット精油には、ラベンダー精油にも含まれる「リナロール」や「酢酸リナリル」という成分が含まれており、高いリラックス効果が期待できます。活発になった交換神経の働きを鎮めて副交感神経を優位にすることから、緊張や不安などのストレスケアに有効です。
また、ベルガモット精油は副交感神経の働きを優位にする鎮静作用に加え、交感神経の働きを活発にする高揚作用を併せ持つタイプの精油です。「天然の抗うつ剤」と呼ばれるほど心強いアロマなので、前を向きたい時に役立てると良いでしょう。
安眠に導いてくれる効果もあるため、ラベンダーなどのリラックス系精油とブレンドして、おやすみ前に香りを楽しむのもおすすめです。
ベルガモット精油の効果・効能②:消化促進・ダイエット効果
ベルガモット精油に含まれる「リモネン」には、消化促進作用があり、胃腸の働きが低下した際にも役立ちます。肝臓や腎臓の機能改善にも効果的なため、食欲不振が気になる時にも活用したいアロマです。
また、リンパ液や血液の滞りをスムーズにする働きを持ち、冷えやむくみも改善してくれます。むくみなどの水太りが気になる部分のダイエット効果が期待できるでしょう。
ベルガモット精油の効果・効能③:免疫機能の向上にも◯
AEAJ日本アロマ環境協会の助成のもとで行われた研究によると、ベルガモット精油の30分以上の吸入で唾液中の分泌型免疫グロブリンAの分泌速度が優位に増加し、コルチゾールの濃度が低下することが分かりました。
分泌型グロブリンAは身体を細菌やウイルスから守る抗体の一種で、コルチゾールは過剰なストレスを受けた際に増加するストレスホルモンのことを言います。この研究結果では、ベルガモット精油の芳香浴が、免疫機能の向上とストレスの緩和を助ける可能性が示されました。
出典:(公社) 日本アロマ環境協会「芳香浴が免疫やストレスに与える影響」
ベルガモット精油の効果・効能④:抗菌・抗ウイルス効果
抗菌や抗ウイルス作用を持つため、アロマディフューザーで香りを広げるだけでもお部屋の空気を清潔に保てます。感染症の季節に活用すると良いでしょう。
消臭効果も期待できるため、玄関やトイレなどで使用するのがおすすめです。
特に、梅雨時期は湿気で菌が繁殖しやすく、ニオイが気になりがちです。柑橘系のベルガモット精油を取り入れることで、ニオイ対策をしながら爽やかな気持ちで雨の季節を過ごせるでしょう。
油汚れも落としてくれるため、キッチンや床の拭き掃除にも利用できます。
その他、ベルガモット精油の香りが、寝不足時の「集中力低下」や「肌のハリ低下」を防ぐ可能性を報告した実験もあります。水で希釈して化粧水として使用すればニキビにも効果的で、肌に嬉しいベルガモット精油ですが、光毒性を持つため、必ず後述の「ベルガモット精油を扱う際の注意点」を守りましょう。
ベルガモット精油のおすすめブレンド
精油はいくつかの種類を組み合わせると、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。
ベルガモットは他の精油とよく馴染むため、ブレンドしやすいアロマです。香りの感じ方には個人差があるため、自分にとっての「心地よさ」を大切に、好きな香りを組み合わせてみましょう。
また、精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。ベルガモット精油はトップノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、ミドルノートタイプやベースノートタイプの精油とバランス良く組み合わせるのがおすすめです。
ここでは、ベルガモット精油とのブレンドにおすすめの精油を目的別にご紹介します。
ブレンドアロマを楽しむ際の参考にしてください。
リラックス効果
- ラベンダー
- ローマンカモミール
- ネロリ
ホルモンバランスを整える
- ゼラニウム
- クラリセージ
- ジャスミン
リフレッシュ&集中力アップ
- サイプレス
- ペパーミント
- ユーカリ
ベルガモット精油はこのような方におすすめ
ベルガモット精油の特徴や効果についてご紹介してきましたが、ここでは、どのような方に向いている精油なのかを具体的に挙げています。
以下を参考に、ベルガモット精油を効果的に取り入れましょう。
- 落ち込んだ気持ちを癒したい方
- 緊張や不安から心を開放したい方
- 精神的な疲労を回復させたい方
- ストレスによる消化不良を緩和したい方
- 食欲不振を改善したい方
- 身体の痛みを緩和したい方
- 冷えやむくみを解消したい方
- 空気を清潔に保ちたい方
- 油汚れをすっきり落としたい方
- ニキビなどの肌トラブルを改善したい方
- 泌尿器のトラブルに役立てたい方など
ベルガモット精油のおすすめの使い方
ベルガモット精油は、爽やかな柑橘の香りで、年齢や性別に関係なく好まれるアロマです。
アロマストーンやアロマディフューザーで香りを広げるだけでも、さまざまな効果が期待できますが、ここではベルガモットをより有効に活用するためのおすすめの使い方をご紹介します。
以下の使い方を参考に、自分に合った方法で生活の中へ取り入れてみてください。
お気に入りの香りに包まれるリードディフューザー
他の精油ともよく馴染み、ブレンドしやすいベルガモット精油は、好みの組み合わせでリードディフューザーを作るのもおすすめです。寝室に置く場合は、以下のようにラベンダーやスイートオレンジ、フランキンセンスといったリラックス系精油とのブレンドを楽しむと良いでしょう。
玄関やリビングなど、場所や目的別に好きな香りを組み合わせて試してみてください。
リードディフューザーの作り方
【用意するもの】
- ベルガモット精油…20滴
- ラベンダー精油…30滴
- 無水エタノール…20ml
- グリセリン…1~2滴
- 用具…ビーカー、ガラス棒、口が狭いビン(遮光性)、リード(竹串や竹ひごなど)
【作り方の手順】
①ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加えてよく混ぜ合わせる。
②ビンに移し、グリセリンを垂らす。
③リードとなる竹串や竹ひごをビンの口に挿す。
※グリセリンはなくても大丈夫です。アロマオイルが蒸発するスピードを落としてくれるため、香りが長持ちします。
※蒸発を防ぐために、直射日光を避けて置きましょう。
アロマスプレーですっきり
ベルガモット精油は、気分を前向きにするだけではなく、油汚れや虫除けにも有効なアロマです。
アロマスプレーを作っておけば、「お掃除スプレー」や空間を一瞬で爽やかにできる「ルームスプレー」として、幅広い用途に活用できます。好きな香りをいくつか組み合わせ、自分だけのルームスプレーを作るのもいいですね。
アロマスプレーの作り方 完成量100ml
【用意するもの】
- ベルガモット精油…20~40滴(0.05ml/滴)
- 水または精製水…90ml
- 無水エタノール…10ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性のスプレー容器
【作り方の手順】
①ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加える。
②ガラス棒や竹串でよく混ぜる。
③水を加えてよく混ぜ合わせる
④スプレー容器に移して完成。
※精油の濃度が1%以上になるため、肌への使用は避けてください。
※よく振ってから使用してください。
※直射日光や高温多湿を避けて保管し、1~2週間以内を目安に使い切りましょう。
※「おすすめのブレンド」で紹介した精油と組み合わせ、ルームフレグランススプレーを作ることも可能です。その場合も、精油の合計量が上記を超えないように作成します。香りの感じ方には個人差があるので、最初は少ない量から試し、自分が心地よいと感じる量で楽しみましょう。
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ベルガモット精油を扱う際の注意点と禁忌事項
ベルガモット精油は、アロマの中でも人気の香りで取り入れやすい精油の一つですが、使用時に気をつけたいポイントもあります。
肌への刺激
ベルガモット精油は、肌への刺激が強いタイプの精油です。精油は植物の有効成分を高濃度に含み刺激が強いため、原液では肌に使用できませんが、キャリアオイルなどの素材で薄めて使う場合でも必ずパッチテストを行いましょう。肌のタイプにも個人差があるため、慎重に使うことが大切です。
なお、AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1~0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈するように定めています。(精油0.05ml/滴)
光毒性
精油の中には、日光中の紫外線と反応して、肌にシミやかぶれなどの炎症を起こすものがあります。ベルガモット精油に含まれる「ベルガプテン」も光毒性を起こす成分として知られており、肌へ使用する際には注意が必要です。
「ベルガプテンフリー」のベルガモット精油を使用したり、夜間に使用したりするなど工夫しましょう。
また、「まずはここから!アロマ初心者のための香りの楽しみ方とアロマオイルの選び方」では、精油を選ぶ時や扱う際の注意点を詳しくご紹介しています。
こちらもチェックしていただき、安全にアロマを使いましょう。
最後に
今回は、古くから香水や紅茶の香りづけとして愛されてきたベルガモットの精油について、その特徴や効果、おすすめの使い方をご紹介しました。
日常のさまざまな場面で役立ち、アロマの中でも取り入れやすい香りの精油なので、まだ使ったことがない方も試してみてはいかがでしょうか。