草木や花の香りは、私たちの心と身体を和ませ・癒してくれます。
最近では、アロマオイルなどのアイテムが数多く販売されており、ネット通販や雑貨屋さんなどで気軽に購入できるようになりました。また、介護や医療の現場でも、アロマの力が注目されています。
中には、アロマオイルなどを利用して植物の力を日常に取り入れたいけれど、何を選び、どう使えばいいのか分からない!と感じている方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、アロマとはどんなもので、どんな種類があるのかを解説し、おすすめの使い方もご紹介しています。アロマを楽しむ際の参考にしてみてください!
アロマとは
アロマは「香り」や「芳香」という意味を持つカタカナ語で、特に植物が発する香りのことを指します。最近では、様々なアロマオイルを見かけるようになりました。
雑貨屋などでも手に入るアロマオイルですが、実は、精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれるものとそうでないものの、大きく2つに分類できるんです。
エッセンシャルオイルともいいます。植物の花や葉、根、果皮などから抽出した天然素材だけでできており、有効成分を高濃度に含有する揮発性の芳香物質。
人工香料などが使われていないのが特徴。
心身に働きかける作用があり、アロマテラピー(自然療法)で使用されます。
植物の有効成分が持つ作用により、スキンケアなど「香り」を楽しむ以外の目的でも使えるアロマオイルです。
植物の成分だけではなく、アルコールや人工香料などを含んだもの。
フレグランスオイルなどの名称で販売されていることもあります。
主に「香り」を楽しむためのアロマオイルです。
以前は、「精油」と、人工香料などが合成された「アロマオイル」を区別していましたが、近年は消費者にも分かりやすいよう、精油もアロマオイルと表現するお店が増えています。
精油はとても貴重です。例えば、精油1kgを得るために、ラベンダーなら穂積を100~200kg、ローズは花を3~5t使うので、値段も高くなりがちです。
その点、精油以外のアロマオイルは、値段もお手頃なものが多いので、まずは気軽に香りを楽しみたい!という方におすすめです。
ただし、香りや植物の有効成分が心身に働きかける作用を期待し、「アロマテラピー(自然療法)」として使えるのは、植物成分100%の精油だけです。
ここでは、「アロマを日常に取り入れる」という観点から、アロマオイルの中でも特に精油について詳しく解説していきます。
アロマ(精油)はどうやって作られるのか
精油は、花や葉、根、果皮などの抽出する部位や成分の特徴によって、作り方が違います。
一番多く使われている方法は、精油が水に溶けにくい性質を利用した「水蒸気蒸留法」という作り方です。
水蒸気蒸留法の仕組み
植物に水蒸気をあて、香り成分を含む水蒸気を揮発させます。その香り成分を含んだ水蒸気を冷却機に送って冷やし、再び液体に戻して水と精油の二層に分離する方法です。
ラベンダーやローズマリー、レモングラスなど、多くの精油に使われる「水蒸気蒸留法」ですが、熱で香りや成分を損なう可能性がある繊細な植物には別の方法を使いますし、柑橘系精油には「圧搾法」という作り方があります。
また、同じ植物でも違う方法で抽出され、成分が異なる精油も存在します。
アロマの世界は奥深いので、興味のある方はこの記事の最後に紹介している「本格的にアロマを勉強するなら」も参考にしながら詳しく学んでみてくださいね!
アロマの香りにはどのくらい種類があるか
精油の香りは、約200~300種類あると言われており、国内専門店では200種類近くの精油が揃っているところもあります。
雑貨屋さんでも、以下の代表的な精油20~30種類ほどが手に入るようになりました。
ラベンダー/ローズオットー/ローズアブソリュート/ジャスミン/イランイラン/クラリセージ/グレープフルーツ/レモン/スイートオレンジ/ベルガモット/ネロリ/ゼラニウム/ティートリー/レモングラス/ローズマリー/ジュニパーベリー/ミルラ/スイートマージョラム/ペパーミント/サイプレス/ローマンカモミール/ジャーマンカモミール/サンダルウッド/パチュリ/メリッサ…など
また、「ラベンダー&ベルガモット」など、いくつかの精油を組み合わせた、ブレンド精油も多く目にします。
アロマオイルはこんなに多種多様なので、きっとあなたもお気に入りが見つかるはずです。
アロマオイルの品質について
精油は、オリジナル化粧水やアロマバスとして皮膚に使う際にはもちろん、香りを嗅ぐ場合も鼻の粘膜から吸収され、血液中に取り込まれます。そのため、品質にもこだわり、安心してアロマを楽しみたいですよね。
品質の良いアロマオイルを見極める情報として、例えば以下の点に注目してみましょう。
学名
植物から抽出された精油には、世界共通の学術上の名称が記載されています。
「レモン」、「ラベンダー」のように、植物の名称を品名として表示してあるだけではなく、例えばラベンダーなら「Lavandula angustifolia」のように、学名の記載があるかも確認しましょう。
生産国や原産国
同じ植物でも、育った場所の気候や土壌により香りや成分が違うため、生産地や原産地は精油を選ぶ際の大切な情報です。
オーガニック
残留農薬の危険性を考慮し、原料植物に化学薬品や化学肥料を使っていないかを確認することも大切なポイントです。オーガニック精油や有機植物精油と表記されたものを選ぶと良いでしょう。
同じ植物でも花や葉などの抽出部位、抽出方法が違えば香りや成分も異なります。
表示をよく確認したり、実際に香りを試したりしながら、自分が安心して、心地よく使えることにこだわって選びましょう。
さらに、消費者を保護する観点から、専門機関が設けた基準や認証制度もあります。
例えば、「有機JAS認証」という国内の認証を受け、農薬や化学肥料に頼らずに栽培した植物原料で作られた精油を販売している国内ブランドがあります。【有機食品の検査認証制度:農林水産省 (maff.go.jp)】
この他にも、フランスの「ECOCERT」、オーストラリアの「ACO」など、各国のオーガニック認証を取得した製品を扱っている専門店もあるため、精油を選ぶ際には、こうした基準を満たしているかどうかも一つの目安にできます。
対応が丁寧なお店
また、問合せに丁寧に答えてくれるような、信頼できるお店で購入することも大切ですね。
なお、品質自体を保証するものではありませんが、日本アロマ環境協会(AEAJ)では、精油ブランドを対象に「表示基準」を定め、認定しています。
表示は精油を選ぶうえで大切な情報なので、『日本アロマ環境協会|AEAJ表示基準適合精油認定制度 (aromakankyo.or.jp)』こちらも参考にしてみてください。
アロマテラピーの始め方と揃えるもの
アロマテラピーを楽しむには、どんな準備が必要なのか気になる方も多いかもしれません。ここでは、精油をはじめ、香りを広げるアイテムについてご紹介しているため、アロマテラピーを始める際の参考にしてください。
精油(アロマオイル)
アロマテラピーを始めるには、まず、植物の有効成分を高濃度に含んだ「精油」を購入しましょう。自然療法としてのアロマテラピーの効果を期待する場合は、箱や精油瓶に記載されている表示を確認し、天然植物成分100%であることを示す「精油」または「エッセンシャルオイル」と書かれたものを選びます。アロマオイルと表記されたものの中には、合成香料が使われていたり、アルコールで薄められていたりするものがあるため注意しましょう。
例えば、精油は次のような場所で購入可能です。通販ショップの中には、専門店のオンラインショップやネット通販専門のアロマショップなどがあります。
しかし、初めて精油を使う場合は、アロマ専門店や雑貨屋の店頭で香りを試し、自分好みの心地よいアロマを選ぶのがおすすめです。
- アロマやハーブ専門店
- ネットショップ
- 生活雑貨店
など
アロマディフューザー(香りを広げるアイテム)
アロマを楽しむには、香りを空間に素早く広げるアロマディフューザーがあると便利です。アロマディフューザーにもさまざまなタイプがあるため、以下を参考に自宅やオフィスなどの利用シーンに合わせ、取り入れやすいものを試してみましょう。
アロマストーン
アロマストーンは気化式のアロマディフューザーで、精油が気体に変化する仕組みを利用したアイテムです。石膏や珪藻土でできたストーンに精油を数滴垂らすだけで、香りを楽しめます。電気や火を使わず、香りの広がりも穏やかなため、寝室の枕元での使用にもおすすめです。
持ち運びにも便利で、値段もお手頃なため、気軽にアロマを楽しみたいときにぴったりですね。花やお菓子の形など見た目もさまざまで、例えば次のようなアロマストーンが販売されています。ぜひお気に入りを見つけてください。
600円
可愛らしい見た目に癒されるアロマストーン。 頂上部分が凹んでいて、精油を滴下しやすいのも嬉しいですね。
3,300円
@aromaから販売されているのは、国産の天然木を使ったディフューザー。
お気に入りのアロマと木の温もりのダブル効果で、さらに癒されること間違いなしです。
アロマディフューザー(超音波式)
精油を垂らした水を超音波でミスト状にし、香りを広げるアロマディフューザーも人気です。火を使わずに素早く空間に香りを広げ、芳香浴を楽しむことができます。生活雑貨店などでもよく見かけるタイプのディフューザーなので、手に入れやすいのも魅力です。
5,990円
ミストの量が多く、広いお部屋でもアロマを楽しめるのがポイントです。
シンプルな作りで使いやすく、手入れがしやすい点でも人気を集めています。コードレスタイプのディフューザーも販売されているため、チェックしてみてください。
6,600
BRUNOから販売されているのは、インテリアに馴染みやすいウッド調の超音波式アロマディフューザー。下部のライトは強・弱・ゆらぎの3段階に設定可能で、気分に合わせて癒し空間を演出できます。
アロマディフューザー(ネブライザー式)
ネブライザー式のアロマディフューザーとは、精油を空気微粒子に変換しながら香りを拡散する、噴射タイプのディフューザーを言います。水を使わず衛生的な点や精油本来の香りを楽しめる点が魅力です。ディフューザーに精油瓶を直接取り付けて使うタイプや、ツボ型のガラス容器に精油の原液をそのまま垂らして使うタイプなどがあります。
6,930円
精油ボトルを取り付けてボタンを押すだけで素早く香りが広がり、精油本来の香りを楽しむことができます。
火を使わずに安全に扱えたり、片手で持ち運べたりするところも嬉しいポイントです。
8,800円(本体)、2,640円(フラスコ)
おしゃれなアロマディフューザーを探している方におすすめなのが、@aromaのネブライザー式ディフューザー。本体に別売りのフラスコを組み合わせて使います。
つい見惚れてしまうモダンでおしゃれなディフューザーは、嗅覚だけではなく視覚的にも心を満たしてくれます。
自宅にあるものでアロマを楽しむ
アロマディフューザーなどのアイテムがない場合でも、自宅にあるものでアロマを楽しめます。
次のようなグッズを使い、気軽にアロマを取り入れてみましょう。
ハンカチ
ハンカチなどの布に精油を1~2滴垂らすだけでも、お気に入りの香りを楽しむことができます。机や枕元などの狭い範囲で香りを楽しむのにおすすめの方法です。
ただし、精油によっては布にシミができる場合もあるため、注意しましょう。
ティッシュやコットンでの代用も可能です。
マグカップ
マグカップなどの容器にお湯をはり、そこに精油を1~2滴垂らすと、立ちのぼる蒸気とともに香りを楽しむことができます。この方法を試す場合は、顔を容器に近づけ過ぎてやけどをしないように注意しましょう。
また、なるべく芳香浴専用の容器を用意しておくのがおすすめです。
ホットタオル
精油の中には、血行を促す効果を持つものがあります。例えば、ラベンダーやローズマリー精油などが挙げられます。これらの精油は、ホットタオルとの相性がよく、冷えやコリなどが気になるときにおすすめです。
肌に刺激を感じる場合があるため、ホットタオルを当てる時間や場所を調整しながら、慎重に行いましょう。
- ラベンダー精油やローズマリー精油など…1~3滴
- 用具…タオルや手拭いなど、洗面器
手順
- 洗面器に熱めのお湯を張り、精油を加えます。
- タオルを浸し、精油がついた面を内側に畳んで水気を絞ります。
- 精油は植物の成分を高濃度に含むため、直接肌につかないよう気をつけて、首の後ろや目元を温めます。
アロマ初心者におすすめの精油5選
初めてアロマを手に取るときには、「好きな香りを」と思う一方で、「どれが自分の生活に役立つか」といった思いも浮かぶのではないでしょうか。そこで、使いやすさや取り入れたいシーンといった観点から、最初に試してみたいおすすめの精油を5つご紹介します。
ラベンダー
ラベンダー精油は、アロマテラピーの起源となった精油で、「万能のアロマ」として知られています。リラックス効果、炎症や痛みを鎮める効果、スキンケア効果など、生活のあらゆるシーンで私たちをサポートしてくれるアロマです。
ラベンダーの中にも多くの種類がありますが、ラベンダー精油といえば一般的に「真正ラベンダー」の精油を指します。
ローマンカモミール
カモミール精油には、大きく分けてローマン種とジャーマン種の2種類があります。精油としては、作用が穏やかで安心して使えるローマンカモミールが幅広い層から人気を集めており、初心者にもおすすめです。
不安やストレスを和らげる効果に優れているため、リラックスタイムに取り入れましょう。
ローマンカモミール精油はどんな香り?効果効能とおすすめの使い方
スイートオレンジ
柑橘系のフレッシュな香りは、年齢や性別を問わず多くの人に好まれる香りです。リラックス効果があり、睡眠との相性も抜群なので、市販の夜用ブレンドアロマでもラベンダーとスイートオレンジなどの組み合わせを多く見かけます。
柑橘系のアロマは値段も比較的お手頃なため、最初の1本として手に取りやすいのではないでしょうか。
スイートオレンジ精油はどんな香り?効果効能とおすすめの使い方
ゼラニウム
ゼラニウムはハーブの一種ですが、ローズと同じ成分が含まれており、ややグリーン調のローズに似た「安心感や幸福感を与えてくれる香り」が特徴です。ホルモンのバランスを整えたり、肌の調子を整えたりする作用に優れているため、女性を中心に愛されています。
高級なローズ精油に比べると購入しやすいため、ローズ精油の代用としても広く親しまれ、石鹸やスキンケア商品などにも配合されています。
ローズマリー
ローズマリーは、料理の香りづけや化粧品などに使われ、精油の中でも人気のアロマです。
スーッと鼻を通り抜けるような「透明感ある香り」は、やる気や集中力を高めてくれることで知られています。そのほか、血行を促して体を温める効果やスキンケア効果、虫除け効果など、幅広いシーンで使えます。
スキンケアなどで肌に使う際には「ローズマリーシネオール」精油がおすすめですが、ローズマリー精油は肌に刺激を与える場合があるため、敏感肌の方は特に注意して使いましょう。
ローズマリー精油はどんな香り?認知症予防など効果効能とおすすめの使い方
アロマオイルを始めるときの注意点
植物の力で私たちのくらしを豊かにしてくれるアロマオイルですが、使い方を間違えると事故につながる可能性もあります。
安心して楽しむために、以下のような点に注意しましょう。
原液を皮膚につけない
精油は植物の成分を高濃度に含有し、原液は刺激が強いため、必ず薄めてつかいましょう。
日本アロマ環境協会(AEAJ)では、キャリアオイルや精製水などの素材の量に対し、精油が何%であるかを表す希釈濃度の目安を以下のように定めています。(精油1滴=0.05ml)
- ボディ用:1%以下(例:ホホバオイル50mlに対し精油1~10滴)
- フェイス用:0.1~0.5%以下 例:ホホバオイル50mlに対し精油1~5滴
肌タイプも感じ方も個人差があるため、あくまで目安とし、低めの濃度から試しましょう。
飲用しない
日本では、精油は一般的に医薬品や食品として扱われていないため、飲用しないでください。
火気に注意する
精油は引火性があるため、火気を扱う場所での使用には注意が必要です。
目に入れない
目は皮膚よりもデリケートな部分なので、精油が目に入らないよう注意しましょう。
子どもやペットの手が届かない場所へ保管する
誤飲の危険があるため、置き場所に注意しましょう。
また、精油は遮光性のビンで保管し、使用後はフタをしっかり閉じる、直射日光や高温多湿を避ける、開封後は1年を目安に使いきることなどに気を付けましょう。
特に扱いに注意が必要な方
また、次に当てはまる方が精油を使用する際は、特に注意が必要です。
妊産婦
体調を考慮して使用します。芳香浴以外で楽しむ場合は注意が必要です。
アロマトリートメントを受ける場合は、医師に相談しましょう。
子どもやペット
3歳未満の幼児は、芳香浴以外は行わないようにしましょう。3歳以上の場合も、精油は多くても成人の2分の1の量までとし、少しずつ使い始めましょう。
また、動物は私たちと身体の作りが違うため、安易にペットへ使用してはいけません。
皮膚の弱い方
皮膚の弱い方や、初めて精油を使う方が、アロマテラピーで手作りのオイルやスプレーを皮膚につける場合は、推奨されている濃度よりも低い濃度で試してから使いましょう。
このほか、病気やアレルギーで治療中、または処方されている薬がある方も、医師に相談してから精油を使うようにしましょう。
さらに、高齢者や既往歴がある方は、はじめに基準の半量から精油を試し、様子を見ながら使うことが大切です。