メリッサ精油は、レモンを思わせる香りが印象的で、原料植物メリッサはレモンバームという別名を持ちます。レモンバームは、日本でも家庭栽培用のハーブとして親しまれており、ホームセンターなどで購入できるため、馴染みある方も多いかもしれません。
この記事では、シャンプーなどの身近なアイテムにも使われるメリッサ精油の効果や効能、おすすめの使い方についてご紹介します。幅広い作用を持ち、魅力に溢れたアロマなので、ぜひ最後までご覧ください。
メリッサ精油の基本情報
名前 | メリッサ、レモンバーム |
学名 | Melissa officinalis(メリッサ オフィキナリス) |
科名 | シソ科 |
産地 | フランス、イギリスなど |
抽出部位 | 葉 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | ミドルノート |
香り | レモンに似た爽やかさとハーバル感が漂う香り |
成分 | シトラール、シトロネラール、β-カリオフィレン、ゲルマクレンDなど |
メリッサ精油はどんな香り?
メリッサはレモンバームという別名のとおり、レモンのような爽やかさと、シソ科特有のハーバル感漂う香りが特徴です。
クセがない爽やかな香りの中に甘さがあり、ダメージを受けた心にやさしく寄り添って穏やかさを与えてくれます。
メリッサ精油の特徴
原料植物であるメリッサは、南ヨーロッパの地中海沿岸を原産とする植物で、ペパーミントに似た葉の形が特徴的です。草丈60cm程度まで成長し、毎年夏頃に白く小さな花を咲かせます。
メリッサの歴史は古く、古代ギリシャやローマ時代から、栽培されていたと考えられています。メリッサという名には、「ミツバチ」という意味があり、ギリシャ神話に由来するのだとか。
レモン様の爽やかさに甘さを合わせ持つ香りが女王蜂を引き寄せるため、実際に養蜂の世界でも重宝されてきたそうです。
古くから医師が傷の治療に用いる薬用植物として知られ、8~11世紀頃には、不眠や若返り、抑うつ作用についても注目されるようになりました。
11世紀に活躍したペルシャの医師、イブン·スィーナの著書に「レモンバームは心を明るくし、陽気にさせる」という記述が残されているほどです。メリッサは、この頃から少しずつ世界中へ広がっていったとされています。
現在では、日本でも家庭栽培用のハーブとして人気ですが、メリッサよりもレモンバームの名前が一般的です。
メリッサはホームセンターなどで購入でき、育てやすいため、ハーブティーやお菓子の風味づけなど幅広い用途で親しまれています。
メリッサの葉から得られる精油は、時間が経ってもクセのない瑞々しい香りが持続するのが特徴です。
しかし、メリッサ精油は大量の葉から少量しか採油できないため、とても高価なことで知られています。いつもよりゆっくり癒されたい日や特別な日のケアにもぴったりのアロマです。
メリッサ精油の効果·効能
メリッサはレモンバームとも呼ばれ、家庭栽培用としても親しまれるハーブですが、アロマテラピーで使用する精油にはどのような働きがあるのでしょうか。ここでは、メリッサ精油の効果や効能についてご紹介します。
メリッサ精油の効果·効能①:リラックス効果
メリッサ精油は、強い鎮静作用で知られ、浮き沈みが激しい心を安定させる働きがあります。
ショックや不安、イライラといったダメージからの回復をサポートしてくれるため、穏やかな毎日のお守りとしても心強いアロマです。
大きなショックから立ち直りたいとき、蓄積した心の疲れをしっかり癒したいときにも寄り添ってくれるでしょう。
また、ストレスからくる頭痛や生理痛、便秘などの不調にも効果的です。心が落ち着かずになかなか寝つけないときにも、神経の働きを鎮め、質の高い睡眠に導いてくれます。
メリッサ精油の効果·効能②:呼吸器トラブルを緩和
抗炎症作用を持つ成分が含まれているため、喉の違和感など、風邪のひきはじめや軽い花粉症の症状を楽にしてくれます。
抗ウイルス作用があることでも知られ、感染症が流行る季節の強い味方です。アレルギー症状を抑える作用もあり、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などに働きかけます。
また、血管を拡張する作用があるため、心拍数や血圧を落ち着かせる効果も期待できます。
例えば、緊張で心拍数が上がっているときにもおすすめのアロマです。さらに、消化器系にも作用し、消化不良などを改善するとされています。
メリッサ精油の効果·効能③:美肌効果
抗菌作用に優れ、ヘルペスの改善や虫刺され後のケアなどに使われることがあります。また、毛穴を引き締め皮脂分泌を調整する収斂作用があるため、ニキビ予防やできてしまったニキビのケアに有効です。
皮脂が気になる頭皮ケアにも効果が期待できるため、皮脂由来の頭皮トラブルにお悩みの方は、マッサージなどで取り入れるとよいでしょう。
しかし、メリッサ精油は皮膚に刺激を与えることがあるため、他の素材で薄めて肌に使用する場合は、低濃度での使用をおすすめします。
メリッサ精油は少量でも効果を発揮すると言われているため、少しずつ慎重に使いましょう。
メリッサ精油のおすすめブレンド
精油はいくかの種類を組み合わせることで、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。
メリッサ精油の香りはクセがなく、他の精油とも組み合わせやすいアロマですが、特にフローラル系やハーブ系精油とのブレンドがおすすめです。また、香りが似ているレモンやレモングラスとも好相性です。
精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。
メリッサ精油はミドルノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、トップノートタイプやベースノートタイプの精油とバランスよく組み合わせるのがおすすめです。
ここでは、メリッサ精油とのブレンドにおすすめの精油を目的別にご紹介します。
以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
リラックス効果
- ラベンダー
- ジャスミン
- イランイラン
- ネロリ
皮脂トラブルに
- ゼラニウム
- ローマンカモミール
- レモングラス
呼吸器系のトラブルに
- ローズウッド
- ユーカリ
- フランキンセンス
メリッサ精油のおすすめの使い方
メリッサ精油はリラックス効果で心を穏やかに導くだけではなく、消化器系や呼吸器系のトラブル、アトピー症状の緩和などにも役立つ心強いアロマです。
香りを空間に広げて楽しむだけでも、殺菌·抗ウイルス作用が期待できます。火や電気を使わずに芳香浴ができる「アロマストーン」などのアイテムを使って、気軽に芳香浴を行うのもおすすめです。
また、メリッサ精油は精神面のサポートに加えて、美肌効果も期待できます。メリッサ精油を使ったアロマバスで、肌や心をケアしながら、1日の疲れをリセットしてみてはいかがでしょうか。
そのほか、次のような方法で日常生活に役立ててみてください。
なお、植物の有効成分を高濃度に含む精油は、刺激が強く、肌に直接使用することができないため、注意が必要です。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1~0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(0.05ml/滴)
トリートメントオイルの作り方(完成量50ml)
収斂作用や殺菌効果が期待できるメリッサ精油と、同じく皮脂のバランス調整作用に優れたゼラニウム精油を使えば、肌の調子を整えるトリートメントオイルが作れます。
毎日のケアに活用してみてはいかがでしょうか。
- メリッサ精油…2滴
- ゼラニウム精油…3滴
- キャリアオイル(植物油)…50ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性の保存容器
作り方の手順
※キャリアオイルは、肌馴染みの良いスイートアーモンドオイルやマカデミアナッツオイルがおすすめです。そのほか、保湿効果の高いホホバオイルなどがあります。
※メリッサ精油は皮膚に刺激を与えることがあります。上記は顔にも使用できるレシピですが、肌タイプにも個人差があるため、パッチテストを行うなど慎重に使いましょう。特に敏感肌の方は、より低濃度から試すことをおすすめします。万が一皮膚に違和感があった場合は、使用を中止し、流水で洗い流してください。
※直射日光や高温多湿を避けて保管し、1ヶ月以内を目安に早めに使い切りましょう。
ロールオンアロマの作り方(完成量10ml)
コンパクトなロールオンアロマを作っておけば、好きな香りがいつでもどこでも楽しめます。手首や首筋などにコロコロ塗って、ほっと一息ついてみましょう。
メリッサ精油とラベンダー精油の組み合わせは相性がよく、どちらも鎮静作用に優れているため、高いリラックス効果が期待できます。部分的な保湿ケアにも有効なため、乾燥が気になるところに使ってみてください。
- メリッサ精油…1滴
- ラベンダー精油…2滴
- キャリアオイル(ホホバオイル、スイートアーモンドオイルなど)…10ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、ロールオンボトル(遮光性)
※使用期限は1ヶ月を目安とし、早めに使い切りましょう。
メリッサ精油を扱う際の禁忌・注意点
メリッサ精油は爽やかさと甘さを持つ香りで心を癒すだけではなく、呼吸器トラブルや美肌に導く効果など、幅広い作用が期待できる心強いアロマです。
以下のポイントに注意しながら、メリッサ精油を取り入れてみましょう。
メリッサ精油は、ニキビやアトピー由来の肌荒れに働きかける作用を持ちますが、肌に刺激を与える場合があります。敏感肌の方は特に注意が必要です。
スキンケアアイテムとしてメリッサ精油を取り入れる場合は、低濃度から試し、パッチテストを行うなど慎重に使いましょう。
また、メリッサ精油は女性ホルモンに似た働きをする成分を含み、皮膚に刺激を与える可能性もあるため、妊娠中の芳香浴以外での使用は避けた方が無難です。
症状に影響を与える可能性がある成分が含まれているため、緑内障や前立腺肥大の方も、メリッサ精油の使用を控えるべきとされています。
また、精油を扱う際に、特に注意が必要な場合もあります。例えば、病気を治療中の方、処方されている薬がある方などがアロマテラピーを楽しむ際には、医師や専門家に相談の上、体調に配慮しながら行うことが大切です。
「【初心者向け】アロマの始め方|揃えるもの・おすすめのアロマ・扱い方の注意点」では、植物の有効成分を高濃度に含んだ精油を選ぶ際や扱うときの注意点をご紹介しています。ぜひ、こちらもチェックして、安全にアロマを楽しんでください。
まとめ
今回は、メリッサ精油の効果·効能や、おすすめの使い方についてご紹介しました。メリッサ精油は、レモンに似た香りで心を穏やかにしてくれるだけではなく、菌やウイルス対策、美肌に導く作用など、あらゆる場面で役立つアロマです。
高級さが特徴でもありますが、特に頑張った日やストレスを感じた日のスペシャルケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。
クセのない上品な香りは他の精油ともブレンドしやすいため、「おすすめブレンド」を参考にしながら、オリジナルの香りで癒やされるのもおすすめです。
精油には、それぞれに特徴があり、多様な効果·効能を持っています。
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