カモミールといえば、ハーブティーを思い浮かべる人も多いかもしれません。実は、カモミールには多くの種類がありますが、ハーブティーとして親しまれるもののほとんどはジャーマン種です。
この記事では、ジャーマンカモミール精油の効果や効能、おすすめの使い方などについてご紹介します。
古くから、皮膚のケアに適した薬草として使われたジャーマンカモミール。ぜひ、その精油の特徴や魅力を知って、日常生活に取り入れてみてください。
ジャーマンカモミール精油の基本情報
名前 | ジャーマンカモミール、ブルーカモミールなど |
学名 | Matricaria recutita(マトリカリア レクティタ) |
科名 | キク科 |
産地 | エジプト、フランス、イギリスなど |
抽出部位 | 花 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | ミドルノート |
香り | りんごのような甘さとハーバル調の香り |
成分 | カマズレン、ビサボロール誘導体、ビサボレン誘導体など |
ジャーマンカモミール精油はどんな香り?
ハーブティーにすると、ローマンカモミールのようなリンゴに似た甘い香りがしますが、精油はフルーティーさの中にも薬草のようなハーバル調の個性的な香りを放つのが特徴です。ローマンカモミールと同様に、ジャーマンカモミールの精油も香りがしっかりしているため、少量ずつ心地よいと感じる量から試したり、体調に合わせて加減したりしましょう。
ジャーマンカモミール精油の特徴
カモミールには大きく分けて、ローマン種とジャーマン種の2種類があります。ジャーマンカモミールは、ハーブティーとしても親しまれる一年草の植物で、30~60㎝ほどの高さまで成長します。ジャーマンカミツレという和名を持ち、国内でも広く普及しているハーブです。
ジャーマンカモミールとローマンカモミールは、見た目がよく似た白くて小さな花を咲かせますが、精油の成分は全く異なります。ジャーマンカモミール精油には、「カマズレン」という成分が多く含まれており、綺麗な濃い青色をしているのが特徴です。「カモミールブルー」とも呼ばれる綺麗な色を作り出すカマズレンは、抗炎症作用や抗アレルギー作用に優れた成分として知られています。そのため、ジャーマンカモミールは主にヨーロッパなどで、古くから薬草として皮膚のケアに使われてきました。
ローマンカモミール精油は作用が穏やかなため、幅広い世代に芳香浴やスキンケアなどで使いやすいことで有名です。一方、ジャーマンカモミール精油は皮膚の炎症や乾燥対策に優れ、特にスキンケアに活用されます。
ジャーマンカモミール精油の効果・効能
ジャーマンカモミールは、ハーブティーなどで人気を集める植物ですが、アロマテラピーで使われる精油にはどのような働きがあるのでしょうか。
ここでは、ジャーマンカモミール精油の効果や効能についてご紹介します。
ジャーマンカモミール精油の効果・効能①:炎症を鎮める!スキンケアに◯
ジャーマンカモミール精油中の特徴的な成分「カマズレン」は、抗炎症作用やアレルギー症状を緩和する効果で知られています。アトピー性皮膚炎の炎症原因物質TARCに精油が与える影響を調べた実験では、ジャーマンカモミール精油が特に有意なTARC産生阻害を示したそうです。
- 出典:AEAJ日本アロマ環境協会(炎症の原因物質TARCに精油が与える影響)
アレルギーによる湿疹や痒みだけではなく、肌荒れや日焼けのケアにも心強いアロマです。肌を保湿しながら整えてくれるため、多くの化粧品やシャンプーなどにも使われてきました。オリジナルのスキンローションやクリームなどでケアするのがおすすめです。
ジャーマンカモミール精油の効果・効能②:リラックス効果
ジャーマンカモミール精油は、ローマンカモミール精油と比べると色も香りも個性的なアロマですが、鎮静作用で疲れた心を癒してくれます。緊張や不安、イライラなど、ネガティブな感情を和らげたいときに取り入れてみましょう。
また、ローマンカモミール精油と同様、睡眠との相性が良い精油なので、就寝前の使用にもおすすめです。
ジャーマンカモミール精油の効果・効能③:月経前症候群・月経痛・更年期の症状緩和
女性ホルモンに似た働きを持ち、PMS(月経前症候群)や更年期の症状緩和が期待できます。痛みを抑える作用もあるため、月経痛や関節痛などには、ジャーマンカモミール精油を使ったオイルでやさしくトリートメントすると良いでしょう。
ジャーマンカモミール精油は、この他に消化を助ける作用があり、胃腸トラブルの緩和にも役立ちます。
ローマンカモミール精油と比べて効果は弱いものの、水虫の原因菌や書庫などに発生するカビの抑制にも有効です。
ジャーマンカモミール精油のおすすめブレンド
精油はいくかの種類を組み合わせることで、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。香りの系統別に見ると、ジャーマンカモミール精油もローマンカモミール精油と同じく、フローラル系や柑橘系の精油と好相性です。
また、精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。ジャーマンカモミール精油はミドルノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、トップノートタイプやベースノートタイプの精油と組み合わせるのがおすすめです。
ここでは、ジャーマンカモミール精油とのブレンドにおすすめの精油を目的別にご紹介します。
以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
女性特有の不調に
- ゼラニウム
- ラベンダー
- クラリセージ
安眠効果
- ベルガモット
- スイートマージョラム
- イランイラン
スキンケアに
- ネロリ
- フランキンセンス
- ローズオットー
ジャーマンカモミール精油はこのような方におすすめ
ジャーマンカモミール精油の特徴や効果などをお伝えしてきましたが、ここでは具体的にどんな方におすすめなのかをご紹介しています。
以下を参考に、さらに効果的にアロマを使いこなしてみてください
- 不安や緊張などを和らげたい方
- リラックスしてぐっすり眠りたい方
- ホルモンの乱れによる不調を緩和したい方
- 乾燥から肌を守りたい方
- アトピー性皮膚炎の症状を緩和したい方
- 虫刺されや日焼け跡などの炎症を抑えたい方
- 胃腸トラブルを和らげたい方
- 天然成分をカビや菌の対策に役立てたい方など
ジャーマンカモミール精油のおすすめの使い方
ジャーマンカモミール精油は女性特有の悩みの改善を助けてくれたり、幅広い皮膚トラブルをケアしてくれたりするため、日々の体調管理や美容のためにも頼れるアロマです。
例えば、香りを嗅ぐだけでも、イライラや不安、頭痛などの緩和に役立ちます。他にも、肌に嬉しい効果があるため、以下のような方法で日常生活に役立ててみてください。
なお、植物の有効成分を高濃度に含む精油は、刺激が強く、肌に直接使用することができないため、注意が必要です。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1~0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(0.05ml/滴)
アロマシャンプー
皮膚のケアに優れたジャーマンカモミール精油をシャンプーとして取り入れると、頭皮を労わりながらやさしく汚れを洗い流せます。自分好みの精油と組み合わせれば、お風呂タイムがより癒しのひと時になるでしょう。
〈アロマシャンプーの作り方〉
用意するもの
・ジャーマンカモミール精油…10滴
・ラベンダー精油…20滴
・ゼラニウム精油…10滴
・無添加シャンプー…200ml前後
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、シャンプー容器(遮光性)
- ビーカーなどの容器に無添加シャンプーを入れる。
- 精油を加え、ガラス棒や竹串などでよく混ぜ合わせる。
- 容器に移して完成。
- シャンプー200mlに対する精油の合計量が上記を超えない範囲で、香りを調節しながら作成してください。
- シャンプーは、なるべく添加物などが混ざっていない、せっけん素地だけのものを選びましょう。
- 使用期限は1ヶ月を目安に、早めに使い切りましょう。
ハンドクリームで肌荒れケア
ジャーマンカモミール精油を使ったハンドクリームは、部分的な乾燥ケアにおすすめのアイテムです。
少量を持ち運ぶと、外出先でも気になる部分を素早く保湿できます。
〈アロマハンドクリームの作り方〉完成量30g
用意するもの
・ジャーマンカモミール精油…2滴
・ネロリ精油…2滴
・フランキンセンス精油…1滴
・キャリアオイル…28ml
・ミツロウ…2g
・用具…ビーカー、ガラス棒、コンロ、鍋、保存容器(遮光性のビン)
- キャリアオイルとミツロウをビーカーに入れ、弱火で湯煎にかける。
- ミツロウが完全に溶けたら、ガラス棒などでよく混ぜ合わせ、火を止める。
- ビーカーをお湯から取り出し、粗熱が取れたら精油を加え、素早く混ぜ合わせる。
- 保存容器に移したら、蓋を開けたまま、完全にさめて固まるまで置いておく。
- 湯煎の際は、火傷に注意してください。また、ビーカーの中にお湯が入らないように気をつけて行いましょう。
- ミツロウが付着した用具は、固まらないうちに拭き取るか、洗い流してください。
- 上記は濃度が0.5%を超えるレシピなので、顔に使う場合はもう少し低濃度で作成しましょう。
- 高温多湿や火気を避けて保管し、1ヶ月を目安に早めに使い切りましょう。
ジャーマンカモミール精油の禁忌・注意点
幅広い皮膚トラブルに働きかける作用や痛みを鎮める作用など、嬉しい効果を持つジャーマンカモミール精油ですが、禁忌事項や注意したいポイントも存在します。
ジャーマンカモミール精油は、濃い青色をしており、布に付着するとシミになる可能性があるため、うっかり衣類などに付着しないよう注意しましょう。また、女性ホルモンに似た働きをする成分や神経毒性のあるケトン類を含むため、妊娠初期の使用は控えてください。
精油は少量から試したり、パッチテストを行ったりしながら、慎重に使うことが大切です。キク科の植物やブタクサにアレルギーを持つ方は、特に注意しましょう。
最後に
今回は、カモミールティーとしても人気を集めるジャーマンカモミールの精油についてご紹介しました。
古くから皮膚トラブルに役立てられた心強いアロマですが、肌タイプにも個人差があるため、低濃度からの使用をおすすめします。香りとの相乗効果で、より健やかな心身に導いてくれるはずです。
なお、「まずはここから!アロマ初心者のための香りの楽しみ方とアロマオイルの選び方」では、精油を選ぶときや扱う際の注意点も紹介しています。こちらも参考に、安全にアロマを楽しみましょう。
精油には、それぞれに特徴があり、多様な効果・効能を持っています。
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