ジャスミンは、香水やお茶にも使われる植物で、その香りは、古代エジプト女王・クレオパトラにも愛された、歴史あるアロマです。
この記事では、ジャスミン精油の特徴や効果、おすすめの使い方などをご紹介しています。
リゾートホテルなどでも使用される、人気の香りの秘密を確かめてみてください。
ジャスミン精油の基本情報
ジャスミン精油として使われるものには、いくつか種類がありますが、ここでは、アロマテラピーでよく使用されるJasminum officinale(ジャスミヌム オフィキナレ)、Jasminum grandiflorum(ジャスミヌム グランディフロルム)の基本情報をご紹介します。
名前 | ジャスミン |
学名 | Jasminum officinale(ジャスミヌム オフィキナレ)/Jasminum grandiflorum(ジャスミヌム グランディフロルム) |
科名 | モクセイ科 |
産地 | フランス、エジプト、インドなど |
抽出部位 | 花 |
抽出方法 | 揮発性有機溶剤抽出法 |
ノート | ミドルノート |
香り | 甘くエキゾチックで濃厚な花の香り |
成分 | 酢酸ベンジル、フィトール、酢酸フィティル、cis-ジャスモン、ジャスミンラクトンなど |
揮発性有機溶剤抽出法とは?
多くの精油は、高温の蒸気を使う「水蒸気蒸留法」で抽出されますが、ジャスミンの花の香りはとても繊細で熱に弱いため、この方法には向きません。
そこで多くの場合は、石油エーテルやヘキサンなどの「有機溶剤」を用いる「揮発性有機溶剤抽出法」により、以下の手順で精油を抽出します。
- 溶剤釜に植物を入れ、香り成分や花のワックス成分を溶かし出す。
- ①から植物を取り除き、溶剤を揮発させる。
※この時、香り成分とワックス成分などが含まれた半個体状の「コンクリート」と呼ばれる物質が残ります。 - ②にエタノールを加え、香り成分とワックス成分などを分離。
- 最後にエタノールを取り除く。
こうした流れで抽出された香り成分の集まりを「アブソリュート」と呼びます。
お店で販売されているジャスミン精油やローズ精油にも、アブソリュートを表す「Abs.」などの表記がついているため、目にしたことがあるかもしれません。
これらには、抽出過程で使用した有機溶剤が微量混ざる場合があるため、精油とアブソリュートを区別する考え方もあります。
また、ジャスミン精油の中にも、一部「水蒸気蒸留法」で抽出されたものが存在します。
ジャスミン精油はどんな香り?
香りの系統:フローラル系
ジャスミンは、白い小さな花を咲かせ、特に夜間に芳香が強まることから、「花の王」、「夜の女王」などと呼ばれます。また、その花から得られる精油は、甘美でエキゾチックな香りの中に、濃厚な力強さを感じることから「香りの王様」とも呼ばれ、香水などで多くの人に親しまれてきました。
南国リゾートを思わせる香りは、実際に多くのリゾートホテルやスパなどの空間演出に使用されています。
ジャスミンの歴史と特徴
ジャスミンの原産地は、インドや東南アジアとされていますが、その魅惑的な香りが人気を集め、他の地域にも広がっていきました。世界三大美女に数えられる、古代エジプト女王・クレオパトラが愛した香りとしても有名です。
香料としての歴史は17世紀ごろに始まり、18世紀に香水産業で栄えたフランス・グラース地方で発展しました。
大量の花から得られる精油はごくわずかで、花びら1tから約1kgしか精油が採れない、大変貴重なアロマです。
ジャスミン精油の効果・効能
ここでは、ジャスミン精油が持つ効果・効能についてご紹介します。
ジャスミンも様々な働きがある精油なので、どんなときに力を貸してくれるアロマなのかを知って、効果的に使いましょう。
ジャスミン精油の効果・効能①:精神面をサポート
ジャスミン精油は、神経の働きを調整・強化する働きがあり、気持ちが落ち込んだ時、不安や緊張を感じる時などに、神経に働きかけて症状を緩和してくれます。
また、鎮静作用もあり、イライラや精神的なストレスを感じた時にも効果的です。
さらに、高揚感や多幸感を与える作用に優れていて、傷つきやすい気持ちに自信を与えてくれます。
筋肉の緊張を和らげる効果もあり、心と身体を疲れから解放して活力を与えてくれるので、忙しい毎日を送る方にも心強い精油です。
アロマでリラックスできるメカニズムとリラックスしたい時におすすめのアロマはの解説記事もぜひご覧ください。
ジャスミン精油の効果・効能②:女性特有の悩みを緩和
ホルモンのバランスを整える作用があるため、PMS(月経前症候群)や月経痛、更年期など、ホルモンの乱れによる不調を緩和してくれます。
子宮収縮を促す効果があり、月経中のサポートだけではなく、出産時の分娩の進行をスムーズにする目的でも使われるほどです。
以下のとおり、ジャスミン精油などの吸入が女性ホルモンに影響を与えることが認められた研究結果も報告されています。
出典:AEAJ日本アロマ環境協会:精油の吸入が女性ホルモンに与える影響
また、女性だけではなく、男性ホルモンの乱れによるトラブルにも効果があるとされ、妊活中のカップルにもおすすめです。
ジャスミン精油の効果・効能③:呼吸器系のトラブルに
抗炎症作用や抗菌作用があるため、風邪気味による喉のイガイガや声枯れの症状を緩和する効果が期待できます。また、喉の痛みなどの炎症を鎮めたい時にも効果的です。
ディフューザーなどで素早く香りを広げると、お部屋の空気を綺麗に保つためにも役立ちます。
この他にも、細胞の成長を促して肌を再生する作用があるため、ストレスが原因の肌荒れや加齢による乾燥などのトラブルにも効果を発揮すると言われています。
ジャスミン精油は、肌に刺激を与える場合があるため、スキンケアなどの目的で使用する際は、必ずパッチテストを行い、低濃度で使用しましょう。
ジャスミン精油のおすすめのブレンド
ジャスミンは、ローズやミュゲ(すずらん)と並び、香りの世界で「三大フローラル」と呼ばれます。フローラルな香りの基本とされ、多くの香水などに含まれています。
また、甘美でエキゾチックな香りを持つジャスミン精油は、オリエンタル系の香りを作るために欠かせません。
ここでは、ジャスミン精油とのブレンドにおすすめの精油をご紹介しています。
以下を参考に、自分好みの香りを楽しんでみてください。ジャスミン精油は、とても香りが強いので、少量ずつ加えましょう。
ストレス対策に
- イランイラン
- スイートマージョラム
- パチュリ
睡眠トラブルの緩和に
- ローマンカモミール
- スイートオレンジ
- フランキンセンス
柑橘系やフローラル精油との相性が抜群◎
ジャスミン精油はこのような方におすすめ
ジャスミン精油の特徴や効果などについてお伝えしてきましたが、ここでは具体的にどんな方におすすめなのかを挙げていきます。
以下を参考に、日常生活でジャスミン精油を役立ててみてください。
- 憂鬱な気分を吹き飛ばしたい方
- イライラや不安、緊張を解消したい方
- 自信を取り戻したい方
- 睡眠前にリラックスしたい方
- 南国リゾート気分を味わいたい方
- PMS(月経前症候群)や更年期などの症状を改善したい方
- 生理不順や無月経でお悩みの方
- 妊活中の方
- 呼吸器のトラブルを緩和したい方
- 肌の乾燥やほてりが気になる方など
ジャスミン精油のおすすめの使い方
ジャスミン精油の効果・効能を上手に活用するために、おすすめの使い方をご紹介します。
香りの王様として、昔から香水などには欠かせない存在だったジャスミン精油を、次のように生活の中へ取り入れてみてはいかがでしょうか。
ロールオンアロマでポジティブな香りを持ち歩こう!
イライラ、不安、憂鬱など、ネガティブな気持ちを吹き飛ばし、自信を与えてくれるジャスミンの香りは、いつもそばにあると心強いですよね。
そこで、手軽に持ち運べるロールオンアロマにして、手首などにコロコロ使うのがおすすめです。
精油は、天然植物の香り成分を高濃度に含有しているため、直接肌に使用することができません。必ず他の素材で希釈してから使用しましょう。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1~0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈するように定めています。(精油0.05ml/滴)
〈ロールオンアロマの作り方〉完成量10ml
用意するもの
- ジャスミン精油…1滴
- レモングラス精油…2滴
- キャリアオイル(ホホバオイル、スイートアーモンドオイルなど)…10ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、ロールオンボトル(遮光性)
作り方の手順
①ビーカーにキャリアオイルと精油を入れ、よく混ぜる。
②ロールオンボトルに移して完成。
※ジャスミンは肌を刺激する可能性がある精油なので、必ずパッチテストを行ってから使用しましょう。
※使用期限は1ヶ月を目安とし、早めに使い切りましょう。
肌の乾燥を和らげるアロマバス
ジャスミン精油は、肌の乾燥を和らげてくれる効果もあるので、アロマバスとして使うのも良いでしょう。以下のように、保湿効果の高い精油や素材と組み合わせるのがおすすめです。
〈アロマバスのやり方〉
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用意するもの
- ジャスミン精油…1滴
- ラベンダー精油…1滴
- ネロリ精油…1滴
- 無水エタノール…5ml
- ハチミツ…大さじ2
- 用具…計量スプーン、容器
- 容器に精油と無水エタノールを入れ、スプーンなどでよく混ぜる。
- ①にハチミツを加え、再びよく混ぜ合わせる。
- ②を浴槽のお湯(200l)に加え、よく混ぜたら完成。
- 浴槽にお湯を張る途中で入れると、よく混ざるのでおすすめです。
※精油は水に溶けないので、必ず無水エタノールと混ぜてから入れましょう。
※ハチミツはなくてもOKですが、加えることで、より高い保湿効果が期待できます。
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ジャスミン精油を扱う際の禁忌・注意点
様々な効果を持つジャスミン精油ですが、安全に扱うために禁忌や注意点も抑えておきましょう。
以下のポイントに気を付けて、安全に使用してください。
高濃度での使用に注意
ジャスミン精油は、「香りの王様」と呼ばれるほど力強い香りを持ち、少量でも強い香りを放つのが特徴です。香りが強すぎると、頭痛や吐き気の原因になることがあるので、芳香浴を楽しむ際には、必ず少量から試しましょう。
「揮発性有機溶剤抽出法」で得たジャスミンなどの精油には、溶剤が微量に残る場合があるため、マッサージなどで肌に長時間使用することは、あまりおすすめできません。
また、肌を刺激する可能性があるので、スキンケア目的で使用する時は、低濃度に薄めた上で、パッチテストを行い、慎重に使いましょう。
妊娠中は控えよう
女性ホルモンエストロゲンに似た働きをする成分を含み、子宮収縮作用があるため、分娩をスムーズにするために使われることもあるジャスミン精油。しかし、早産につながる可能性があるため、妊娠中は赤ちゃんが産まれても問題ない時期になるまで使用を控えましょう。
また、血液に吸収された精油が、母乳を通じて赤ちゃんに影響を与えることを考慮して、授乳中の使用も控えましょう。
集中が必要な場面での使用に注意
ジャスミン精油は、鎮静作用があり、気持ちを落ち着かせて眠気を誘う効果もあるため、車の運転時など、特に集中が必要な場面での使用は避けましょう。
日中用フレグランスとして使う場合は、交感神経の働きを活発にしてくれる精油と組み合わせるのがおすすめです。
信頼できるメーカーやブランドで購入しよう
大量の花びらから少量しか得られない貴重なジャスミン精油は、価格も10mlで10,000円~20,000円台と、とても高級なアロマです。
中には、精油(エッセンシャルオイル)と表記されていても、合成香料が混ざったものが販売されているケースがあります。
学名や抽出部位・方法、原産国などの情報に加えて、製造ロット番号が記載されているかを確かめることが大切です。
また、精油の成分分析表を公開しているメーカーやブランドもあるので、自分が信頼できるお店で購入すると良いでしょう。
ジャスミン精油の特徴や効果まとめ
今回は、ジャスミン精油の特徴や効果、おすすめの使い方などについてご紹介しました。
心身を癒し、幸福感を与えてくれるパワフルなジャスミン精油を取り入れて、毎日を元気に過ごしてみてはいかがでしょうか。
なお、「まずはここから!アロマ初心者のための香りの楽しみ方とアロマオイルの選び方」では、アロマを選ぶ時や扱う際の注意点をご紹介しています。特に注意が必要な方についても記載しているので、ぜひこちらもチェックして、安全にアロマを楽しんでください。