スギは私たち日本人にとって身近な植物で、懐かしさや安心感を与えてくれます。和精油にも数えられるスギ精油は、森林浴を思わせる爽やかな香りが人気のアロマです。
この記事では、スギ精油の特徴や効果、おすすめの使い方などについてご紹介します。
スギ精油は多くの魅力を持ち、スギ花粉でお悩みの方にも役立つため、ぜひ最後までチェックしてみてください。
スギ精油の基本情報
名前 | スギ |
学名 | Cryptomeria japonica(クリプトメリア ヤポニカ) |
科名 | ヒノキ科 |
産地 | 日本 |
抽出部位 | 葉(枝、木) |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | ミドルノート |
香り | 爽やかで清々しい、ウッディ調の香り |
成分 | α-ピネン、リモネン、サビネン、テルピネン-4-オール、γ-テルピネンなど |
スギ精油はどんな香り?
スギ精油は、枝葉や木部から抽出され、同じウッディ調でも抽出部位により成分内容や香りが異なります。
木部から得られるスギ精油は「やや甘くどっしりとした香り」が特徴で、枝葉から得られるスギ精油は「緑を思わせる清々しい香り」が特徴です。
スギは日本固有の植物であり、古くから日本人の暮らしに取り入れられてきました。私たちに馴染み深いスギの精油は、森林浴効果が高く、リラックスにもリフレッシュにも適した香りです。
スギ精油の特徴
スギは日本固有種の常緑針葉樹で、高さ50m程まで成長します。北海道から屋久島までの広範囲に生息しており、屋久杉や吉野杉などの地域品種も多く見られます。スギの寿命は1000年程度と考えられており、屋久杉の中には樹齢2000〜3000年と推定されるものもあるのだとか。
また、ジャパニーズシダーとも呼ばれるスギは、シダーウッドに似た香りを持ちますが、両者は別の品種です。
スギは家具や醤油樽などに使われるほか、酒樽には心材が用いられ、日本酒の香り付けとしても重宝されてきました。
天に向かってまっすぐ育つスギは木目が美しく、加工しやすいため、古くから建築や造船で活用されました。現在でも、住宅のフローリングや食器などに使われています。
精油はスギの葉や枝、木から水蒸気蒸留法で得られ、ユズやヒノキ、ハッカなどと同じく和精油に数えられます。スギの花粉は花粉症を引き起こすことで有名ですが、精油は花粉症などのアレルギー症状の緩和に効果的です。ただし、重症の方は念のため使用に注意し、慎重に扱いましょう。
「和」な香りが人気!さまざまなスギ精油
日本の風土で育まれた植物から得られる精油は「和精油」と呼ばれ、近年注目を集めています。日本人に馴染みある和精油の香りは、「懐かしさ」や「和み」をもたらしてくれるのが特徴です。スギ精油には以下のような地域品種があり、地元の産物を使った和精油を販売する生産者が増えています。
- 秋田杉
- 立山杉(富山)
- 北山杉(京都)
- 吉野杉(奈良)
- 小国杉(熊本)
- 屋久杉(鹿児島)
など
スギ精油の効果・効能
スギは森林を思わせる親しみやすい香りが特徴で、香りをイメージしやすい方が多いかもしれません。ここでは、スギ精油の主な効果・効能をご紹介します。
リラックス&リフレッシュ
スギ精油は心身をリラックスさせる作用に優れています。また、森林を思わせる爽やかな香りは、リフレッシュ効果も抜群で、心身のバランスを整えてくれるアロマです。癒されたいとき、気分転換したいときなど、幅広いシーンで活用してみましょう。
不安やイライラ、ストレスを感じたときには、スギ精油の香りに包まれて深呼吸をしてみてください。深い呼吸を促し、呼吸を穏やかにしてくれるため、安眠効果も期待できます。
血行促進
血行を促すため、むくみや冷えの解消に適しています。むくみなどが気になる場合には、スギ精油を使ってフットバスをおこなうのがおすすめです。
しかし、スギ精油は皮膚に刺激を与える場合があるため、低濃度から慎重に使いましょう。抗炎症作用が呼吸器不調に働きかけるほか、穏やかな呼吸を促したり、血圧の上昇を抑えたりといったさまざまな作用を持ちます。
アレルギー症状の緩和も期待できるため、花粉症の季節にも心強いアロマです。スギ花粉のアレルギーでお悩みの方も、葉や枝木から抽出される精油は安心して使用できます。
ただし、重症の方は念のため慎重に扱うことが大切です。また、自律神経の働きを整えるスギ精油は、免疫力の維持や向上に役立つと言われています。
抗菌・抗ウイルス作用
スギ精油は抗菌作用や抗ウイルス作用に優れており、お部屋の空気を清潔に保ったり、菌由来のニオイを防いだりするために効果的です。
また、ダニをはじめとする害虫対策に役立つことでも知られています。ディフューザーでスギ精油の香りを空間に広げるほか、拭き掃除などに活用するのもおすすめです。
さらに、樹木精油成分によるホルムアルデヒドの除去作用を調べた研究では、スギ精油やモミ精油が高い効果を示すことが確認されました。
近年、建築材料や家具などから発生する化学物質が問題視されており、中でもホルムアルデヒド類は最も警戒すべき物質として有名です。自然由来成分による、有害物質の除去機能が注目を集めています。
出典:国立研究開発法人 森林研究・整備機構生物機能開発部「樹木抽出成分等の利用による機能性木質系内装材料の開発」
スギ精油のおすすめブレンド
精油はいくつかの種類を組み合わせることで、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。スギ精油は柑橘系の香りに加え、ヒノキやクロモジといった和精油の香りと好相性です。
また、精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。スギ精油はミドルノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、トップノートタイプやベースノートタイプの精油と組み合わせるのがおすすめです。
ここでは、スギ精油とのブレンドにおすすめの精油を目的別にご紹介します。以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
リラックス
・ユズ
・ベルガモット
・サンダルウッド
リフレッシュ
・レモン
・ローズマリー
・サイプレス
抗菌
・シダーウッド
・ヒノキ
・クロモジ
※クロモジ精油は、スギ精油と同じ和精油の1つです。クロモジはクスノキ科の落葉低木で、お茶や楊枝に使われます。透明感の中にやや甘さを感じる、上品なウッディ調の香りが特徴です。
スギ精油はこのような方におすすめ
スギ精油は、心身のケアに幅広く活用できるのが嬉しいポイントです。
ここでは、どんな方にスギ精油がおすすめなのかを具体的に挙げています。以下を参考に、スギ精油をより効果的に使ってみてください。
・森林の香りに癒されたい方
・イライラや不安を鎮めたい方
・気分転換したい方
・冷えやむくみを解消したい方
・喉の炎症を和らげたい方
・鼻水・鼻づまりを楽にしたい方
・免疫力を維持・向上させたい方
・除菌・消臭に役立てたい方
・雑菌由来のニオイを予防したい方
・ダニなどの虫を寄せつけたくない方
・お部屋の空気を清潔に保ちたい方など
スギ精油のおすすめの使い方
日本固有の植物であるスギの精油には、さまざまな作用が期待でき、暮らしで頼れる存在です。
ここでは、スギ精油を使った「アロマスプレー」や「リードディフューザー」の作り方などをご紹介します。
このほかにも、重曹を使った芳香剤を作ってニオイが気になる場所で活用するのもおすすめです。和の心地よさを与えてくれるスギの香りを、自分に合った方法で取り入れてみてください。
アロマスプレー
スギ精油はアロマスプレーにすると、ニオイ対策や防虫など、幅広い用途で活用できます。好みの香りと合わせて、ルームスプレーとして使うのもおすすめです。
〈アロマスプレーの作り方〉完成量100ml
用意するもの
・スギ精油…20〜40滴(0.05ml/滴)
・水または精製水…90ml
・無水エタノール…10ml
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性のスプレー容器
ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加える。
ガラス棒や竹串でよく混ぜる。
水を加えてよく混ぜ合わせたら、スプレー容器に移して完成。
※精油の濃度が1%以上になるため、肌への使用は避けてください。
※よく振ってから使用してください。
※直射日光や高温多湿を避けて保管し、1〜2週間以内を目安に使い切りましょう。
※「おすすめのブレンド」で紹介した精油と組み合わせて作るのもおすすめです。その場合も、精油の合計量が上記を超えないように作成します。香りの感じ方には個人差があるので、最初は少ない量から試し、自分が心地よいと感じる量で楽しみましょう。
リードディフューザーで空気をリフレッシュ!
抗菌作用や有害物質の除去作用に優れたスギ精油は、リードディフューザーで香りを広げるのもおすすめです。
玄関やリビングなどに置くと、爽やかな香りが空気をリフレッシュしてくれます。ここでは、樹木系の和精油を使ったレシピをご紹介します。
好みに応じて、「おすすめブレンド」でご紹介した精油との組み合わせも試してみてください。
〈リードディフューザーの作り方〉
用意するもの
・スギ精油…20滴
・クロモジ精油…20滴
・ヒノキ精油…10滴
・無水エタノール…20ml
・グリセリン…1〜2滴
・用具…ビーカー、ガラス棒、口が狭いビン(遮光性)、リード(竹串や竹ひごなど)
ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加えてよく混ぜ合わせる。
ビンに移し、グリセリンを垂らす。
リードとなる竹串や竹ひごをビンの口に挿す。
※グリセリンはなくても大丈夫です。アロマオイルが揮発するスピードを落としてくれるため、香りが長持ちします。
※蒸発を防ぐために、直射日光を避けて置きましょう。
森林の香りに癒される!フットバスのやり方
血行促進作用を持つスギ精油は、洗面器などの容器にお湯を張って手足を温める、フットバスやハンドバスとして活用するのもおすすめです。精神面のリラックスやリフレッシュだけではなく、手足の疲労感も和らぐため、心身ともに癒されるでしょう。また、少ない道具や工程で気軽に行える点もメリットです。
やり方は、洗面器のお湯に、無水エタノール5mlとスギ精油1滴を混ぜ合わせたものを加えて準備します。スギ精油は皮膚に刺激を与える場合があるため、洗面器のお湯に対してスギ精油1滴から試しましょう。やけどに注意して、ゆっくり手足を温めてください。
なお、精油は植物の有効成分を高濃度に含んでいるため、肌に直接つけることができません。スギ精油は、スキンケア目的で使われることは少ないアロマですが、肌に触れる方法で取り入れる場合は必ずキャリアオイルなどの他の素材で薄めましょう。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1〜0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(精油0.05ml/滴)
スギ精油の禁忌事項・注意点
スギ精油は抗菌作用、忌避作用などの嬉しい効果があるものの、その分刺激もあるアロマです。フットバスなどへの活用もおすすめですが、皮膚刺激を引き起こすことがあるため、肌に使用する場合は注意が必要です。特に、敏感肌の方は慎重に扱いましょう。
また、妊娠中や授乳中などの敏感な時期にも刺激となる場合があるため、使用は避けた方が無難です。
そのほかにも、アロマテラピーで使用する精油を扱う際に、注意するべき場合があります。「【初心者向け】アロマの始め方|揃えるもの・おすすめのアロマ・扱い方の注意点」では、精油を選ぶときや扱う際の注意点も紹介しています。こちらも参考に、安全にアロマを楽しみましょう。
最後に
今回は、スギ精油の特徴や効果、おすすめの使い方などについてご紹介しました。
スギ精油は思わず深呼吸したくなるような、爽やかさと安心感ある香りが特徴です。高い森林浴効果をはじめ、さまざまな作用で心身のケアを支えてくれるため、うまく活用したいですね。
使い方にも注意しながら、心地よく癒される方法でアロマを取り入れてください。