ベンゾイン精油はどんな香り?効果効能とおすすめの使い方・禁忌や注意点も解説

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ベンゾイン精油は、アロマとして聞き馴染みがない方も多いかもしれません。

和名では安息香と呼ばれるベンゾインは、濃厚な香りを持ち、日本では古くからお香や薬として役立てられました。現在でも、香水の原料や化粧品などに含まれ、幅広いシーンで役立つアロマです。

この記事では、ベンゾイン精油の効果効能や、おすすめの使い方についてご紹介します。魅力やおすすめの取り入れ方を知って、ぜひ暮らしに役立ててみてください。

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目次

ベンゾイン精油の基本情報

名前ベンゾイン、安息香
学名Styrax tonkinensis(スティラクス トンキネンシス)
科名エゴノキ科
産地ラオス、タイ、ベトナムなど
抽出部位樹脂
抽出方法揮発性有機溶剤抽出法(アブソリュート)
ノートベースノート
香りバニラに似た濃厚な甘さと、温かみある香り
成分安息香酸エステル、桂皮酸エステル、バニリンなど

ベンゾイン精油は、2種類流通しています。上記で示したラオスやベトナム、タイなどを原産とするシャムタイプ(学名:Styrax tonkinensis)のほか、インドネシア周辺で得られるスマトラタイプ(学名:Styrax benzoin/Styrax paralleloneurum)があります。

シャムタイプは甘く、スマトラタイプはよりスパイシーな香りが特徴です。学名で区別して選びましょう。

ベンゾイン精油はどんな香り?

香りの系統:バルサム系

ベンゾイン精油は、マイルドな甘さとほんのりスパイシーな香りが特徴のアロマです。樹脂系独特の濃厚で、温かみある香りは、古くから宗教行事などに用いられてきました。

落ち着きあるベンゾイン精油の香りは、イライラや不安を感じた時にも、安心感で包み込んでくれるでしょう。

ただし、樹脂系の香りは濃厚なため、1滴から少しずつ試し、心地よいと感じる量で取り入れてください。

ベンゾイン精油の特徴

原料植物のアンソクコウノキは、東南アジアを原産とするエゴノキ科の落葉広葉樹で、10mを超える高さまで成長します。ベンゾイン精油の原料となる樹液が採取できるようになるまで、植樹から約7〜8年かかると言われています。

ベンゾインは、悪霊を追い払う力があると信じられ、古くからミルラやフランキンセンスなどとともに宗教儀式用の薫香として重宝されたそうです。香料として長い歴史があり、紀元前のうちにエジプトやローマなどに伝わっていたという説も。

また、13世紀には中東地方で商取引がはじまり、15世紀にはヨーロッパで呼吸器感染症の治療などに使用されました。日本でも古くからお香の原料に使われ、安息香とも呼ばれます。

ベンゾイン精油は、アンソクコウノキの樹脂から有機溶剤抽出法で抽出されるアロマです。防腐剤などに使われるほか、粘土が高くゆっくり揮発する性質から、香りの保留剤として香水にも活用されています。

また、ベンゾイン精油には、「レジノイド」の表記が見られることも。レジノイドとは、樹脂から有機溶剤抽出法で得られた精油の総称です。精油のパッケージなどでは、「ベンゾイン レジノイド」や「ミルラ レジノイド」、「フランキンセンス レジノイド」などの表記を見かけることがあるかもしれません。

なお、ベンゾイン精油は低温で固まりやすい性質を持つため、少量ずつ購入したり、早めに使い切ったりするなどの工夫をするとよいでしょう。

ベンゾイン精油の効果効能

ベンゾインは、お香や防腐剤などとして古くから重宝されてきました。では、アロマテラピーとしての精油には、どのような働きがあるのでしょうか。

ここでは、ベンゾイン精油の効果や効能についてご紹介します。

リラックス効果

ベンゾイン精油の香りは、神経系の過活動を穏やかにする鎮静作用に優れ、心を整えてくれます。つい考えすぎてしまったり、不安や孤独感におそわれたりした時には、ベンゾイン精油の香りで冷静な自分を取り戻しましょう。

雑念を振り払い、心の安定をもたらしてくれるため、瞑想時の芳香としてもおすすめです。

また、睡眠の悩みがある場合は、バスタイムや就寝前などのリラックスタイムに取り入れてみましょう。

呼吸器ケア

ベンゾイン精油は、「安息香」という名前のとおり、息を安らかにする働きから呼吸器系の薬としても使われてきました。鼻や喉の炎症を鎮めるため、呼吸器系の不調を楽にしてくれます。

花粉症や感染症の季節には、ベンゾイン精油をお部屋の芳香として取り入れるのもおすすめです。

また、抗炎症作用により、関節痛や神経痛を緩和する効果も期待できます。また、ベンゾイン精油の香りは深い呼吸を促してくれるため、免疫機能の維持・向上にも役立つと言われています。

スキンケアにも◯

殺菌作用や抗炎症作用で、肌を健やかに保ってくれます。保湿作用もあり、乾燥によるひび割れなどの傷の回復を助けたり、日焼け後の炎症をケアしたりするために有効です。スキンローションやハンドクリーム、ボディオイルなどのスキンケアアイテムに活用するのもよいでしょう。

また、殺菌効果もあるため、香りを広げるだけでも空気を清潔に保つために役立ちます。そのほか、シダーウッド・バージニア精油と組み合わせることで、ニオイ菌に対する相乗効果が認められた報告もあります。

出典:AEAJ日本アロマ環境協会「精油がにおいのモトに与える影響」

ベンゾイン精油のおすすめブレンド

精油はいくつかの種類を組み合わせることで、香りに深みが出たり、相乗効果が期待できたりするメリットがあります。

濃厚な香りが特徴のベンゾイン精油は、特に柑橘系やフローラル系の香りと好相性で、程よい調和を楽しめます。その他にも、オリエンタル系アロマや樹木系アロマと組み合わせるのもおすすめです。

また、精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類可能です。

ベンゾイン精油はベースノートに分類され、他の精油の香りを長持ちさせる「保留剤」としても役立ちます。トップノートタイプやミドルノートタイプの精油とバランスよく組み合わせるのがおすすめです。なお、香りが濃厚なため、使用量に注意しましょう。

ここでは、ベンゾイン精油とのブレンドにおすすめの精油を目的別にご紹介します。
以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。

リラックス&スキンケア効果

・ラベンダー
・ネロリ
・フランキンセンス
・サンダルウッド

呼吸器系の不調緩和に

・サイプレス
・ジュニパーベリー
・フランキンセンス
・ミルラ

消臭&防臭効果

・レモン
・ペパーミント
・ユーカリ
・シダーウッド

ベンゾイン精油のおすすめの使い方

ベンゾイン精油は、高いリラックス効果で心に静寂をもたらすだけではなく、呼吸器の不調などにも働きかける心強いアロマです。

スキンケアにも役立つベンゾイン精油は、アロマバスとして楽しむ方法もおすすめです。その他にも、次のような方法で、暮らしに取り入れてみましょう。

なお、植物の有効成分を高濃度に含む精油は、刺激が強く、肌に直接使用することができません。

AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1〜0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(0.05ml/滴)

アロマリップクリーム

炎症を抑える作用やひび割れなどの傷の治りをサポートするベンゾイン精油は、リップケアに取り入れるのもおすすめです。

以下のレシピを参考に、アロマリップクリームを作ってみましょう。

〈リップクリームの作り方〉
用意するもの
・ベンゾイン精油…1滴
・ミツロウ…2g
・キャリアオイル…7ml
・用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、コンロ、鍋、リップ容器(5ml用)など
ビーカーにミツロウとキャリアオイルを入れ、弱火で湯煎にかける。
ミツロウが完全に溶けたら、ガラス棒や竹串でよく混ぜ合わせ、火を止める。
ビーカーをお湯から取り出し、粗熱が取れたら精油を加え、素早く混ぜ合わせる。
③をリップ容器に素早く流し込み、完全に冷めて固まるまで置いておく。

※キャリアオイルは、ホホバオイルやスイートアーモンドオイル、アルガンオイルなどがおすすめです。
※湯煎の際は、火傷に注意しましょう。また、ビーカーの中に鍋のお湯や水滴が入らないように気をつけて行いましょう。
※ミツロウが付着した用具は、固まらないうちに拭き取ってください。
※高温多湿や火器を避けて保管しましょう。
※1ヶ月を目安に使い切りましょう。

リラックス空間に導く!リードディフューザー

ベンゾイン精油は、高いリラックス効果で、心に落ち着きをもたらすアロマです。アロマストーンなどのディフューザーを使えば、気軽に香りを楽しめます。また、一手間加え、好きな場所に置けるリードディフューザーを作るのもおすすめです。リードディフューザーは、インテリアの雰囲気を損なわずに、香りを楽しめるところも魅力です。
好みの香りと組み合わせて、リードディフューザーを作ってみましょう。

〈リードディフューザーの作り方〉
用意するもの
・ベンゾイン精油…5〜10滴
・ベルガモット精油…40滴
・無水エタノール…20ml
・グリセリン…1〜2滴
・用具…ビーカー、ガラス棒、口が狭いビン(遮光性)、リード(竹串や竹ひごなど)
ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加えてよく混ぜ合わせる。
ビンに移し、グリセリンを垂らす。
リードとなる竹串や竹ひごをビンの口に挿す。

※グリセリンはなくても大丈夫です。アロマオイルが蒸発するスピードを落としてくれるため、香りが長持ちします。
※蒸発を防ぐために、直射日光を避けて置きましょう。
※ベンゾイン精油は香りが強いのが特徴です。香りの感じ方には個人差があるため、レシピの範囲で精油量を調整するのがおすすめです。

このほか、殺菌作用も期待できるベンゾイン精油は、アロマスプレーとしても活躍します。こちらの記事「簡単!アロマスプレーの作り方|必要なものや虫除け・除菌スプレーのレシピ紹介」を参考に、アロマスプレーも試してみてください。

ベンゾイン精油の禁忌事項・注意点

ベンゾイン精油をアロマテラピーの観点から効果的に取り入れるために、気をつけたいポイントがあります。

ベンゾイン精油は、濃厚で長く持続する香りが特徴です。高濃度で使用すると、吐き気などの不快感を覚える場合があるため、少量ずつ楽しみましょう。

スキンケアにもおすすめの精油ですが、肌タイプには個人差があるため、パッチテストなどで試しながら慎重に使うことが大切です。

また、妊娠中や授乳中の使用は避けた方が無難です。鎮静成分や血圧を下げる成分を含むため、車の運転時など、特に集中したい場面での使用も避けましょう。

なお、ベンゾイン精油は粘度が高い精油の1つです。粘土の高い精油は、ディフューザーなどの機械を詰まらせる場合があります。必ず使用前に説明書をよく読み、正しい使い方や機器と精油の相性を確認しておきましょう。

そのほか、アロマテラピーで使用する精油を扱う際に、特に注意が必要な場合もあります。「まずはここから!アロマ初心者のための香りの楽しみ方とアロマオイルの選び方」では、精油を選ぶときや扱う際の注意点も紹介しています。こちらも参考に、安全にアロマを楽しみましょう。

最後に

今回は古くからお香や防腐剤、薬などに重宝された、ベンゾイン精油についてご紹介しました。

長く持続する濃厚な香りは、柑橘系やフローラル系の精油とうまく調和し、ほっこりとした癒しの空間を演出してくれます。まずは、好きなアロマと組み合わせて、香りを楽しんでみてください。

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この記事を書いた人

アロマテラピー検定1級/WEBライティング実務士/
WEBライターとして活動中。セルフケアとしての「アロマテラピー」に出会い、植物の力に魅了されました。
日頃から精油やハーブを愛用しており、その魅力を多くの方に知っていただきたいと考えています。
また、「自分の綴る文章で、読む方の役に立ちたい」という想いのもと、記事執筆に取り組んでいます。記事の内容が、少しでも皆さまの「癒し」につながると幸いです。

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