日常にアロマテラピーを取り入れるにあたり、もっと精油について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、最も有名な精油と言っても過言ではない、「ラベンダー精油」についての特徴や効能について詳しくご紹介します。
ラベンダーは、多くの効能が認められており、アロマテラピーの起源となった精油なので、きっとあなたも普段の生活に取り入れたくなるでしょう。
ラベンダー精油の基礎情報
ラベンダーとは、一般に真正ラベンダーを指します。
まずは、真正ラベンダー精油の基本情報を以下のようにまとめました。
名前 | ラベンダー(真正ラベンダー・トゥルーラベンダー) |
学名 | Lavandula angustifolia(ラウァンドゥラ アングスティフォリア) |
科名 | シソ科 |
産地 | フランス、イギリス、ブルガリア、オーストリアなど |
抽出部位 | 花、茎葉 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | ミドルノート |
香り | ハーブの香りがほのかに漂う、透明感あるフローラルな香り |
成分 | 酢酸リナリル、リナロール、ラバンジュロール、テルピネン-4-オールなど |
ラベンダー精油はどんな香り?
香りの系統:フローラル系
ラベンダー精油は主に花から得られ、甘いフローラル系の香りが特徴的ですが、シソ科の植物でもあるため、ほんのり鼻を抜けるような爽やかさを感じることができます。ハーブの透明感と甘さのある柔らかい香りは、リラックスタイムにぴったりの香りです。
ラベンダーとアロマテラピー
精油(エッセンシャルオイル)は、植物から抽出した香り成分です。
アロマテラピーとは、その精油を使って心身の疲労やトラブルをやさしく回復させ、美と健康に役立てる自然療法のことを言います。
アロマテラピーという言葉は、フランス人科学者ルネ・モーリス・ガットフォセが名付けました。彼自身が実験中の火傷にラベンダー精油を使用して、一定の治療効果を得たことから、その後研究に注力し、1937年に「アロマテラピー」と名付けた論文を発表します。
つまり、ラベンダー精油はアロマテラピーの起源になった精油というわけです。
当初のアロマテラピーは、フランスを中心に医療現場で使われていましたが、他国に広がる中で、「心と身体のバランスを整える」という考え方や、「香りが私たちに及ぼす効果」の研究が進み、現在のようなアロマテラピーが確立されました。
ラベンダー精油の種類
ラベンダー精油には、育った土地の気候や土壌の違いにより、含まれる成分の比率などが異なるケモタイプ(化学種)が複数存在し、真正ラベンダーのほかにも、以下のような品種があります。
スパイクラベンダー(学名:Lavandula latifolia L.spica)
〈主な成分〉リナロール、1,8シネオール、カンファーなど
シャープな香りが特徴。抗ヒスタミン作用や抗炎症作用などがあり、呼吸器のトラブルや火傷、虫刺されなどに使用できます。
ラバンジン(学名:Lavandula hybrida)
〈主な成分〉酢酸リナリル、リナロール、カンファー、1,8シネオールなど
ラベンダーとスパイクラベンダーの交配種。特にストレス緩和に役立ち、風邪や筋肉痛のケアにも使用できます。
フレンチラベンダー(学名:Lavandula stoechas)
〈主な成分〉フェンコン、カンファーなど
個性的な香りと花の香りを持つ。ケトン類を多く含み、カンファーのすっきりした香りがリフレッシュに適していますが、乳幼児・妊産婦・授乳中の方、てんかんの症状がある方の使用は避けましょう。
ラベンダー精油の効果・効能
このように、アロマテラピーの起源となったラベンダー精油ですが、現在もさまざまな用途に使われている人気のアロマなので、馴染み深い方も多いのではないでしょうか。
「万能の精油」と呼ばれるほど、様々な場面で頼りになるラベンダー精油ですが、ここでは、その効果・効能について詳しくご紹介します。
ラベンダー精油の効果・効能①:高いリラックス効果
ラベンダーの主な成分「酢酸リナリル」には、神経の働きを鎮静させる働きがあります。
緊張や不安などで活発になった交感神経の働きを抑え、副交感神経の働きを優位にしてくれるため、高いリラックス効果がある精油として人気です。
また、神経系に働きかけることで、イライラや不安、落ち込んだ気分など、ストレスから来る精神疲労を回復させる効果もあります。
ラベンダー精油の効果・効能②:質の良い睡眠
睡眠との相性も良く、就寝中の芳香浴により、深い呼吸を促し、質の良い睡眠やすっきりとした目覚めが得られたという報告がある程です。
アロマでリラックスできるメカニズムとリラックスしたい時におすすめのアロマはの解説記事もぜひご覧ください。
ラベンダー精油の効果・効能③:身体の痛みや呼吸器の炎症を緩和
鎮痛作用があり、筋肉痛やコリによる痛みを鎮め、症状を緩和してくれます。また、頭痛や月経痛などの様々な痛みに効果を発揮すると言われています。
身体を温めるため、ラベンダー精油でトリートメントオイルを作成し、マッサージすることで、老廃物の排出を助けたり、身体疲労を回復したりする効果が期待できます。
さらに、炎症を鎮める抗炎症作用により、咳などの呼吸器トラブルの改善にも効果的です。
香りによるリラックス作用との相乗効果で、より症状の緩和が期待できるでしょう。
ラベンダー精油の効果・効能④:傷口の手当てやスキンケアにも
細胞の活性化や抗炎症作用が期待できることから、古くからスキンケアとしても使用されてきました。ニキビなどの肌荒れ全般に効果があり、肌への刺激も少ないため、適切な濃度で希釈すれば、安心して肌に使用することができます。
さらに、虫刺されや小さな傷口のケアにも使用可能です。
そのほか、皮脂の分泌を整える作用があるため、頭皮のベタつきからくる炎症や痒みの改善に役立ちます。加えて、血圧を下げる働きも期待できるため、血圧が上がるのが心配なときにはラベンダー精油の芳香浴などを楽しむと良いでしょう。
ラベンダー精油とおすすめのブレンド
精油は、好きな香りをいくつか組み合わせ、ブレンドアロマとして楽しむことができます。
精油には、ラベンダーのようなフローラル系の香り以外にも、柑橘系、ハーブ系、樹木系など7系統の香りが存在します。何を組み合わせるか迷った際には、同じ系統の香りや近い系統の香りを選ぶのがおすすめです。
また、ノートと呼ばれる「揮発性」を意識してブレンドする方法もあります。精油は揮発する速度が速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類できます。香りを長持ちさせたい場合には、この3つの揮発性が混ざるようにブレンドするのがおすすめです。
あるいは、効果・効能別に組み合わせても良いでしょう。
ラベンダー精油は、他の精油ともブレンドしやすい特徴を持ちます。ここでは、ラベンダー精油とのブレンドにおすすめの精油を効果別にご紹介します。
以下を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
リラックス効果・安眠効果に
花粉症などの呼吸器トラブルに
女性特有の不調の改善に
- ローマンカモミール
- クラリセージ
- ゼラニウム
ラベンダー精油はこのような方におすすめ
ラベンダー精油の特徴や効果についてご紹介してきましたが、ここでは、どのような方に向いている精油なのかを具体的に挙げています。
以下を参考に、ラベンダー精油を効果的に取り入れましょう。
また、香りの感じ方にも個人差があります。一般にリラックス効果が高いと言われるラベンダー精油ですが、好みに合わない方もいるでしょう。
まずは店頭で香りを試してから購入するなど、自分が心地良いと思えるものを選んでください。
- リラックスしたい方
- 忙しくストレスフルな毎日を過ごしている方
- 睡眠の悩みを抱えている方
- 月経前症候群(PMS)などの女性特有の不調を改善したい方
- 頭痛などの体の痛みを緩和したい方
- 免疫力を高めたい方
- 呼吸器のトラブルを緩和したい方
- 肌荒れが気になる方
- 身体の疲れが気になる方
- むくみが気になる方など
ラベンダー精油のおすすめの使い方
ラベンダーは、特にリラックスタイムに適した精油なので、アロマバスとして使用したり、就寝前や就寝時に芳香浴を楽しんだりすると、疲れを癒すのに効果的です。
そのほか、ラベンダー精油は、全ての肌質の方が比較的安心して使用できるため、以下のように手作りのスキンケアアイテムで癒される使い方もおすすめです。使う素材や材料などは、アロマ専門店で手に入るので、気軽に試してみてください。
アロマスキンローションの作り方(完成量50ml)
季節の変わり目などには、心も肌も気づかないうちに疲れをためがちですよね。そんなときには、植物の力で心と肌を整えてみてはいかがでしょうか?
ここでは、ラベンダー精油を使ったスキンローションの作り方をご紹介します。
なお、AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1~0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(精油0.05ml/滴)
- ネロリ精油…2滴
- 水または精製水…40ml
- 無水エタノール…5ml
- グリセリン(保湿成分)…5ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(または竹串)、保存容器(遮光性のビン)
- ビーカーに無水エタノールと精油を入れ、ガラス棒でよく混ぜる。
- ①に芳香蒸留水とグリセリンを加え、さらによく混ぜる。
- 遮光性のビンに移したら完成。
※ラベンダーとネロリの組み合わせは、保湿効果や肌を整える効果があり、エイジングケアにもおすすめです。
※精油は水性の素材と混ざりにくいので、必ず最初に無水エタノールと混ぜ合わせてから、他の素材を加えましょう。
※さらっとした使い心地がお好みの方は、グリセリンを入れずに作成してください。
※直射日光を避けて保管し、毎回容器をよく振ってから使用しましょう。
アロマクリームの作り方(完成量30g)
乾燥が気になるときに、やさしくケアしてくれるアロマクリームがあると、心強いですよね。
ハンドケアなどにも使えるので、心地よいラベンダーの香りに包まれながら、心も肌も癒されるひと時を楽しんでください。
- ラベンダー精油…1滴
- クラリセージ精油…1滴
- ゼラニウム精油…1滴
- ミツロウ…2g
- 植物油(スイートアーモンドオイルなど)…28ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(または竹串)、コンロ、鍋、保存容器(遮光性のビン)
作り方の手順
①植物油とミツロウをビーカーに入れ、弱火で湯煎にかける。
②ミツロウが完全に溶けたら、ガラス棒や竹串でよく混ぜ合わせ、火を止める。
③ビーカーをお湯から取り出し、粗熱が取れたら精油を加え、素早く混ぜ合わせる。
④保存容器に移したら蓋を開けたまま、完全に冷めて固まるまで置いておく。
※湯煎の際は、火傷に注意しましょう。また、ビーカーの中に鍋のお湯や水滴が入らないように気をつけて行いましょう。
※ミツロウが付着した用具は、固まらないうちに拭き取ってください。
※高温多湿や火器を避けて保管しましょう。
上記は、柔らかいクリーム用の作り方ですが、植物油とミツロウの比率を調節することで、クリームの硬さを変えることができます。好みの割合で作ってみてください。
ラベンダー精油のまとめ
今回は、ラベンダー精油の特徴や効果、おすすめの使い方などについてご紹介しました。
ラベンダーは様々な効果があり、生活に取り入れやすい精油であるということを分かっていただけたのではないでしょうか。
また、「まずはここから!アロマ初心者のための香りの楽しみ方とアロマオイルの選び方」では、精油を使う際の選び方や扱う際の注意点を紹介しています。ぜひ、こちらもチェックして、安全にアロマを楽しんでください。