ローズマリー精油は、スキンケア商品や料理の香り付けなど、様々な場面で使われているアロマなので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、すっきり爽やかな香りで人気の「ローズマリー精油」について、その特徴や効能を詳しくご紹介します。
日常にアロマテラピーを取り入れるにあたり、もっと精油について詳しく知りたい方も、数ある精油の中から何を選べばいいのか分からない方も、ぜひ参考にしてみてください。
ローズマリー精油の基礎情報
ローズマリーには、ケモタイプがあり、ローズマリー・シネオール、ローズマリー・カンファー、ローズマリー・ベルベノンの3種が主に市場に出回っています。
ここでは、ローズマリーの中で最も一般的な香りである、「ローズマリー・シネオール」の基本情報をまとめます。
同じ植物から採取した精油でも、育った土地の気候や土壌などの特徴により、含まれる成分の構成比が大きく異なるものがあります。そのように分類できるタイプをケモタイプ(フランス語)と呼び、日本語では「化学種」と訳します。植物に含まれる成分を化学的に分析して、特徴的な成分の含有率で植物を分類する考え方です。
名前 | ローズマリー(ローズマリー・シネオール) |
学名 | Rosmarinus officinalis ct.cineole(ロスマリヌス オフィキナリス ct.シネオール※)
※ct.の後の成分が特徴的に含まれるという意味です。 |
科名 | シソ科 |
産地 | スペイン、チュニジア、フランスなど |
抽出部位 | 葉 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | トップ~ミドルノート |
香り | グリーン調で透明感ある爽やかな香り |
成分 | 1,8-シネオール、α-ピネンなど |
ローズマリー精油はどんな香り?
香りの系統:ハーブ系
葉から得られる精油は、爽やかで、樟脳に似た香りが特徴です。
ハーブの透明感とすっきりとした清涼感で、気分をリフレッシュさせてくれます。
ローズマリーは、青や薄紫色の美しい花をつける低木の植物です。学名のRosmarinusは「海のしずく」を意味し、「波しぶきがついたような花びらの色形」や「海に近い場所に育つこと」に由来するそうです。
ローズマリー精油の種類
ローズマリーには、ローズマリー・シネオールのほかにも、多くの種類のケモタイプがあります。
市場に出回っている主要な精油とその特徴は以下の通りです。
ローズマリー・カンファー(学名:Rosmarinus officinalis ct.camphor)
〈主な成分〉1,8シネオール、カンファー
他のローズマリーよりもカンファーが多く含まれており、シャープで力強い香りが特徴です。芳香浴により、リフレッシュ・集中力アップの効果が期待できます。
ローズマリー・ベルベノン(学名:Rosmarinus officinalis ct.verbenone)
〈主な成分〉α-ピネン、ベルベノン
森をイメージさせる香り成分「α-ピネン」の含有量が多く、他のローズマリーよりも柔らかい香りが特徴です。
粘液を溶かす作用があるため、呼吸器トラブルの改善にも向いています。肌の再生を促す作用もあり、スキンケにも適しています。
ローズマリー精油に含まれる「カンファー」という成分は、特に神経を刺激する作用があるため、やる気の向上・集中力アップに対して効果的です。
しかし、ケトン類であるカンファーやベルベノンは、皮膚刺激や神経毒性などの面で注意が必要な成分とされています。そのため、健康な方が芳香浴を楽しむ場合も、長期に渡り成分を大量に摂取することは避けましょう。
その点、ローズマリー・シネオールは、毒性や刺激性のない1,8-シネオールが多く含まれ、穏やかに作用するのが特徴です。値段もお手頃で比較的安心して使えるため、一般的なローズマリー精油として広く利用されています。
ローズマリー精油の効果・効能
ローズマリーは、古くからスキンケアに用いられてきました。14世紀ごろ、ローズマリー水により若返ったハンガリー女王が、70代にしてポーランドの王子にプロポーズされたという言い伝えはとても有名です。
現在でも、スキンケア商品や料理の香り付けなどに幅広く使われているローズマリーの精油には、以下のような効果・効能があります。
ローズマリー精油の効果・効能①:リフレッシュ&集中力アップ
脳や神経の働きに作用するため、頭をすっきりリフレッシュさせたいときや、集中力を高めたいときに最適です。注意力が散漫になりがちなときも、気持ちを整え、目の前のことに向き合えるでしょう。
朝の目覚めを良くしたいとき、車の運転中など、眠気を覚ましたいときの使用にも適しています。
ローズマリー精油の効果・効能②:認知症を予防
高齢化先進国である日本では、現在、65歳以上の高齢者の認知症有病率は約17%であり、6人に1人が認知症を抱えている計算になります。さらに、今後もその数は増加する見通しです。
しかし、ローズマリー精油をはじめとするアロマが、この認知症に一定の有用性を示すことが確認された研究報告があります。
出典:(公社) 日本アロマ環境協会「認知症に対するアロマテラピーの有用性」
ローズマリーは、脳の記憶を司る海馬という部分を刺激する成分を含んだアロマです。日中に記憶力を強化するローズマリー精油を使うことで、認知機能の向上に役立てることができます。
ローズマリー精油の効果・効能③:筋肉痛や低血圧
ローズマリー精油には、鎮痛作用・リンパや血液の流れを改善する作用があり、筋肉痛やコリなどの身体疲労、冷え、低血圧などの緩和にも効果を発揮します。
例えば、スポーツ後などの筋肉痛が辛い場合は、ローズマリー精油を使った冷湿布で炎症を抑えると良いでしょう。
「リラックスできる香りはこれ!おすすめのアロマ10選」では、「自宅で本格的にアロマテラピーを取り入れる方法」の一つとして、「湿布法」を紹介しています。ぜひ、こちらを参考に、ローズマリー精油を使った冷湿布も試してみてください。
ローズマリー精油の効果・効能④:スキンケアに
皮膚を清潔に保つ作用や肌を再生する作用があるため、多くのスキンケア商品に使用されています。自分で化粧水やトリートメントオイルを作成してスキンケアに役立てるのも良いでしょう。毛穴を引き締める収斂作用があるため、特に「肌のたるみ」や「ベタつき」が気になるときのスキンケアにおすすめです。
さらに、頭皮環境の改善や育毛効果も期待できるため、頭皮マッサージにも適しています。
そのほか、特にローズマリー・シネオールやローズマリー・ベルベノンは、呼吸器系のトラブルにも効果的なので、症状が気になるときは芳香浴を楽しむと良いでしょう。
抗菌作用があるため、ディフューザーなどで香りを広げると、お部屋の空気も綺麗に保つことができます。
ローズマリー精油のおすすめのブレンド
ローズマリー精油は、脳の働きを活性化したり、眠気を覚まして活力を与えたりしてくれるため、市販の日中用ブレンドアロマにもよく使われています。
香りの好みだけではなく、目的別にも様々なブレンドを楽しむことができるので、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
ローズマリー精油との組み合わせにおすすめの精油は、以下の通りです。
すっきりリフレッシュ&集中したいときに
精神疲労を和らげ、気持ちを整えたいときに
冷え性やむくみ、コリなどを改善したいときに
- ラベンダー
- スイートマージョラム
- ブラックペッパー
ローズマリー精油のおすすめの使い方
ローズマリー精油は、勉強や仕事の作業スペースでの芳香浴にぴったりのアロマです。
また、「若返りのアロマ」と言われるほど、スキンケア効果が期待できる精油なので、スキンローションやトリートメントオイルに使用するのも良いでしょう。
そのほか、以下のようなおすすめの使い方も参考にしてみてください。
朝風呂にローズマリーを取り入れて快適な目覚めを!
眠気を覚ましてすっきりさせてくれるローズマリー精油は、朝や日中の使用に適した精油です。まずは、朝風呂にローズマリー精油を取り入れる方法についてご紹介します。
アロマバス
朝湯船に浸かる時間がある方は、ローズマリー精油を使ったアロマバスを試してみてはいかがでしょうか?精油1~5滴と無水エタノール5mlを混ぜ合わせ、湯船に入れるだけで簡単にアロマバスを楽しむことができます。
お好みで、肌へのお湯の感触を柔らかくしてくれる重曹(お湯200lに対し大さじ2)を加えるのも良いでしょう。精油は水に溶けないので、必ず先に無水エタノールと混ぜ合わせた上で、お湯に加えましょう。
シャワー時、浴室の床に垂らして
朝シャワー派という方は、シャワー中浴室の床にローズマリー精油を1~3滴ほど垂らして使うのがおすすめです。湯気と一緒に立ち上るローズマリーの香りで、眠気を覚まし、やる気モードをONにすることができます。
ただし、精油が直接肌につかないように注意しましょう。
アロマヘアオイルに
ローズマリー精油には、頭皮や髪の健康をサポートしてくれる働きがあります。
「ホホバオイル」や「椿オイル」などの植物油と組み合わせて、アロマヘアオイルとして活用するのがおすすめです。
なお、AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1~0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するよう定めています。(精油0.05ml/滴)
[su_box title=”アロマヘアオイルの作り方” box_color=”#5c6d35″]
完成量50ml
- ローズマリー精油…1~5滴
- 植物油…50ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(または竹串)、保存容器(遮光性のビン)
①ビーカーに植物油とローズマリー精油を入れる。
②①をガラス棒などでよく混ぜ合わせ、遮光性の保存容器に移し入れたら完成。
※精油濃度が0.5%以下になるレシピですが、肌のタイプにも個人差があるため、まずは少量から試してください。
※直射日光を避けて保管し、毎回容器をよく振ってから使用しましょう。
※1ヶ月以内を目安に使い切りましょう。
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ローズマリー精油を使用する際の注意点と禁忌事項
美容と健康の強い味方であるローズマリー精油ですが、強い作用を持つ精油には副作用が出るものもあるので注意が必要です。例えば、以下のような点に注意しましょう。
香りが強いので少量から試そう
ローズマリー精油は、精油の中でも刺激が強いタイプのアロマです。
少量を嗅ぐと高いリフレッシュ効果がある反面、高濃度で摂取すると気分が悪くなったり、頭痛の原因になったりする可能性があります。香りの感じ方には個人差があるので、1滴から試すことをおすすめします。
肌への刺激に気をつけよう
スキンケアなどで肌に使用する際にも、皮膚刺激に注意する必要があります。
特にスキンケアグッズを手作りする際には、必ず精油濃度を守りましょう。肌に合わない場合は速やかに使用を中止し、必要に応じ専門医を受診してください。
夜の使用は睡眠の妨げに
ローズマリー精油は、日中や活動しているときに活発になる「交感神経」の働きを優位にします。
夜に使用すると、寝つきが悪くなり、睡眠の質の低下にもつながるため、なるべく朝や日中に使うようにしましょう。
特に注意が必要な方
ローズマリー精油は、子宮収縮作用も持つため、特に妊娠中の方は使用を控えましょう。
そのほか、高血圧の方、てんかんの症状がある方、授乳中の方、乳幼児、猫などのペットには刺激となるため、使用を控えてください。
「まずはここから!アロマ初心者のための香りの楽しみ方とアロマオイルの選び方」では、精油を選ぶときや扱う際の注意点も紹介しています。こちらもチェックしていただき、安全にアロマを楽しんでください。
また、日本において、アロマテラピーは治療目的で行うものではありません。あくまで症状緩和をサポートする補助的なアイテムとして、精油を取り入れるものという前提を忘れないようにしましょう。
今回は、ローズマリー精油の特徴や効果、おすすめの使い方などについてご紹介しました。
ローズマリー精油は、適切な方法で使用すれば、毎日の元気をサポートしてくれる心強いアロマです。ぜひ、自分に合った方法で、生活の中に取り入れてみてください。