スイートオレンジ精油は、アロマテラピーでもメジャーで人気のある精油です。
しかし、どうしてそんなに人気を集めるのか気になりませんか?
この記事では、多くの人に愛されるスイートオレンジ精油の特徴や効果をご紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
スイートオレンジ精油の基本情報
名前 | スイートオレンジ |
学名 | Citrus sinensis(キトルス シネンシス) |
科名 | ミカン科 |
産地 | ブラジル、アメリカ、イタリア、スペインなど |
抽出部位 | 果皮 |
抽出方法 | 圧搾法 |
ノート | トップノート |
香り | 万人から愛される甘く明るい柑橘の香り |
成分 | リモネン、オクタナール、デカナール、リナロール、シトラールなど |
圧搾法とは?
主にスイートオレンジやグレープフルーツ、レモンなどの柑橘系の精油を抽出する際に使われる方法のことを言います。
柑橘系の精油は、果実の皮に含まれているので、皮を強い力で絞る必要があります。昔は、手で絞っていた時期もあったそうですが、現在は機械のローラーで圧搾し、遠心法で水分と精油を分離させています。これが圧搾法です。
圧搾法は、多くの精油を作るときに使用する「水蒸気蒸留法」などと異なり、熱を加えないため、低温圧搾(コールドプレス)とも呼ばれます。
精油の成分が熱による影響を受けないので、自然のままの香りや色が得られるのが特徴です。
その一方で、不純物が混ざりやすく、他の精油と比べて劣化しやすいデメリットもあります。
また、圧搾法で得られる柑橘系の精油は、シミなどの原因となる「光毒性」のあるものが多いため、使用後は一定時間紫外線を避けるなどの注意が必要です。スイートオレンジ精油は、柑橘系では珍しく、光毒性の心配がない精油ですが、正しい濃度で希釈し、パッチテストを行うなど慎重に使いましょう。
どんな香り?
スイートオレンジの皮から圧搾法という方法で抽出される精油は、「リモネン」という柑橘の香りをイメージさせる成分と、ジューシーな甘い香りの「オクタナール」という成分によって、特徴づけられています。
甘く明るい柑橘系の香りは、「陽だまり」をイメージする香りと表現されることもあります。
柑橘系ですが、やさしい香りなので、初心者でも使いやすく人気の高い精油です。
スイートオレンジの歴史
オレンジにはたくさんの品種がありますが、スイート種とビター種の大きく2つのグループに分けることができます。スーパーなどに並び、一般的によく食べられているオレンジはスイート種です。
スイート種には、具体的にバレンシアオレンジやネーブルオレンジ、ブラッドオレンジなどがあり、世界の柑橘類生産量の約7割を占めています。
スイートオレンジ精油には、バレンシアオレンジが使われることが多く、「バレンシアオレンジ」の名がついた精油をみたことがある方もいるかもしれません。他にも、前出のネーブルオレンジやブラッドオレンジが原料として精油に含まれている場合もあります。
このように、スイート種のオレンジの果皮から得られる精油が「スイートオレンジ精油」です。
スイートオレンジは、インドのアッサム地方や中国の雲南地方原産の植物です。16世紀の初め頃にヨーロッパ地方へ持ち込まれ、その後アメリカ大陸へ運ばれたと言われています。現在では、ブラジル、アメリカ、イタリア、スペインなど、世界で広く栽培されるようになりました。
16世紀頃にペストが流行したヨーロッパでは、オレンジの実にクローブを刺し、スパイスをかけて乾燥させた「オレンジポマンダー」が魔除けの香りと信じられていました。このオレンジポマンダーは、今でもクリスマスの飾りとして使われています。
日本にオレンジが入ってきたのは明治時代のことで、広島県や和歌山県、静岡県などを中心にネーブルオレンジが多く生産されています。
スイートオレンジ精油の効果・効能
スイートオレンジ精油がスーパーに並ぶようなオレンジからできると分かれば、より身近に感じていただけるのではないでしょうか。
ここでは、スイートオレンジ精油の効果や効能などについてご紹介します。
気分を明るく元気に!抗うつ効果も
スイートオレンジ精油の主成分で、フレッシュな柑橘の香りを特徴づけている「リモネン」には鎮静作用があり、神経の働きを調整し、不安やイライラなどのネガティブな感情を解消してくれます。リラックス効果・リフレッシュ効果の両方が期待でき、「落ち着く」だけではなく、気持ちを高揚させ「明るく元気に」してくれる香りです。
ストレスからくる精神の疲れを緩和してくれ、憂鬱な気分にも効果を発揮してくれると言われています。
また、AEAJ日本アロマ環境協会が、小学生の子ども達を対象に行った実験では、スイートオレンジ精油などの香りが、ストレスだけではなく計算ミスも軽減してくれるという結果が出ました。緊張や不安などを緩和する働きが、集中力にも良い影響を及ぼすことが分かります。
出典:(公社) 日本アロマ環境協会「ペパーミント/オレンジ・スイート精油の香りが小学生の計算ミスとストレス軽減に寄与」
睡眠の質を高める効果も
おやすみ前におすすめの精油としては、リラックス作用に優れたラベンダー精油が有名ですが、スイートオレンジも負けず劣らず、高い実力を持つ精油です。
就寝前や就寝中にスイートオレンジ精油の芳香浴を行った結果、リラックス作用による入眠・安眠効果とともに、すっきりとした目覚めが得られたという研究報告があります。
出典:(公社) 日本アロマ環境協会「オレンジ・スイート精油がもたらす就眠前不安への生理的影響」
お風呂上がりのスキンケアや寝室での芳香浴など、リラックスタイムにもおすすめできる精油です。
アロマでリラックスできるメカニズムとリラックスしたい時におすすめのアロマはの解説記事もぜひご覧ください。
消化器系の働きをサポート
胃腸の働きを活発にしてくれる作用があり、消化促進や便秘の解消などにも効果的です。
例えば、便秘が気になるときには、マッサージオイルを作り、お腹をやさしくマッサージすると良いでしょう。
また、血行促進作用もあるため、血液やリンパの流れを改善してくれます。ラベンダーなどの鎮痛作用のある精油とブレンドして、筋肉痛や腰痛などに役立てるのもおすすめです。
めぐりを良くして肌を元気に!
血行やリンパなどのめぐりを良くし、ターンオーバーも促進してくれるため、スキンケア効果が期待できます。かかとなどの硬くなった皮膚や、くすみのケア、セルライトのケアなど、幅広い目的に役立てることが可能です。
柑橘系の精油には光毒性がありますが、スイートオレンジは柑橘でありながら光毒性がなく、肌にも使いやすい精油です。正しい希釈濃度を守れば、スキンケにも安心して使うことができます。
その他、空気清浄効果があり、芳香浴を楽しみながらお部屋の空気をきれいにできる点が嬉しいポイントです。また、主成分「リモネン」の働きにより、油性の汚れを落とすために役立てることもできます。
おすすめのブレンド
スイートオレンジは、柑橘系の中でも控えめな香りなので、他の精油と組み合わせやすい精油です。また、精油は揮発する速度の速い順に「トップノート」、「ミドルノート」、「ベースノート」という3タイプに分類することができます。スイートオレンジ精油はトップノートに分類されるため、香りを長く楽しみたい場合には、ベースノートタイプの精油と組み合わせるのがおすすめです。
以下のスイートオレンジ精油におすすめの精油を参考に、自分好みのブレンドアロマを作ってみましょう。
リラックス&安眠効果!おやすみ前に
- ラベンダー
- ローマンカモミール
- スイートマージョラム
気分を明るく元気に!日中のおすすめブレンド
- ゼラニウム
- ローズ・オットー
- ローズマリー
スキンケアに
冷えやむくみの解消に
- ジンジャー
- シナモン
- クラリセージ
スイートオレンジ精油のおすすめの使い方
スイートオレンジ精油は、芳香浴だけでもリラックス効果・リフレッシュ効果、空気清浄効果などが期待できます。しかし、ご紹介したように、その他にも多くの効果・効能があるため、以下のような方法で日常生活に幅広く役立ててみてください。
また、柑橘系の精油は、他の精油に比べて劣化しやすく、揮発性も高いため、開封後は半年を目安に早めに使い切るのがおすすめです。
お掃除スプレーの作り方(完成量100ml)
スイートオレンジ精油でアロマスプレーを作ると、リモネンの働きで油性汚れを簡単に落とせるお掃除スプレーが出来上がります。キッチンの油汚れや床についてしまったクレヨンなどを綺麗にしてくれるので、ぜひ一度試してみてください。
用意するもの
- スイートオレンジ精油…20~40滴(0.05ml/滴)
- 水または精製水…90ml
- 無水エタノール…10ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性のスプレー容器
作り方の手順
①ビーカーに無水エタノールを入れ、精油を加える。
②ガラス棒や竹串でよく混ぜる。
③水を加えてよく混ぜ合わせる
③スプレー容器に移して完成。
※精油の濃度が1%以上になるため、肌への使用は避けてください。
※よく振ってから使用してください。
※直射日光や高温多湿を避けて保管し、1~2週間以内を目安に使い切りましょう。
※「おすすめのブレンド」で紹介した精油と組み合わせ、ルームフレグランススプレーを作ることも可能です。その場合も、精油の合計量が上記を超えないように作成します。香りの感じ方には個人差があるので、最初は少ない量から試し、自分が心地よいと感じる量で楽しみましょう。
アロマスプレーの作り方や材料の集め方は「簡単!アロマスプレーの作り方|必要なものや虫除け・除菌スプレーのレシピ紹介」で詳しく解説しているので参考にしてください。
万能のセルフケアオイルとして
胃腸トラブルの緩和、血行促進、肌に嬉しいスキンケア効果などが期待できるスイートオレンジ精油を使えば、万能のセルフケアオイルも作れます。
毎日のケアに活用してみてはいかがでしょうか。
なお、植物の有効成分を高濃度に配合する精油は、刺激が強く、肌に直接使用することができないため、注意が必要です。
AEAJ日本アロマ環境協会では、ボディ使用時は1%以下、フェイス使用時は0.1~0.5%以下の濃度を目安に、精油を希釈して使用するように定めています。(0.05ml/滴)
[su_box title=”〈セルフケアオイルの作り方〉” box_color=”#5c6d35″]
完成量50ml
- スイートオレンジ精油…5滴
- ラベンダー精油…3滴
- キャリアオイル(植物油)…50ml
- 用具…ビーカー、ガラス棒(竹串でもOK)、遮光性の保存容器
ビーカーにキャリアオイルを入れ、精油を加える。
ガラス棒でよく混ぜ合わせ、保存容器に移したら完成。
※キャリアオイルは、肌馴染みの良いスイートアーモンドオイルやマカデミアナッツオイルがおすすめです。その他、保湿効果の高いホホバオイルなどがあります。
※上記はボディ用のレシピですが、精油濃度を0.1~0.5%以下にすると、フェイス用として使用することもできます。肌タイプにも個人差があるため、パッチテストを行うなどして慎重に使いましょう。
※直射日光や高温多湿を避けて保管し、1ヶ月以内を目安に早めに使い切りましょう。
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スイートオレンジ×ラベンダーの組み合わせは、睡眠との相性が良いブレンドとして有名ですが、セルフケアオイルとして、「ストレスからくる胃腸トラブル」や「女性特有の不調」に役立てることもできます。気になる部分をやさしくマッサージすると、香りとの相乗効果で心身ともに癒されること間違いなしです!
最後に
今回は、多くの人に愛される人気の香り「スイートオレンジ精油」にスポットを当ててご紹介しました。
精油には、それぞれに特徴があり、多様な役割を持っています。
もっとアロマを知って、暮らしに取り入れたい!と思ってくださった方は、ぜひ他の精油を紹介した記事もチェックしてみてください。
なお、「まずはここから!アロマ初心者のための香りの楽しみ方とアロマオイルの選び方」では、精油を選ぶときや扱う際の注意点も紹介しています。こちらも参考に、安全にアロマを楽しみましょう。